仮想通貨(暗号資産)調査企業メサーリのレポートによると、香港のブロックチェーン業界を対象とした規制案は、仮想通貨デリバティブ市場に広範囲な影響をもたらす可能性がある。
18日に公開されたレポートの中で、リサーチャーのミラ・クリスタント氏は仮想通貨先物取引の中心的な市場である香港において、ガバナンス推進の一環として、規制されていない取引所を取り締まる可能性があると指摘している。
クリスタント氏は、香港証券先物委員会(SFC)が最近公表した規制案に言及している。これは、すべての仮想通貨事業がマネーロンダリング防止(AML)規則に該当することを要求するものだ。これは、SFCが「証券分野」の企業のみを規制すると1年前の発表から、大きく変化することになる。
以前は、SFCは証券の定義を満たす資産のみを規制するとしていた。
だが香港政府は今月はじめ、すべての仮想通貨を証券規制当局の監督下に置くことを提案した。規制の推進は、マネーロンダリングへの懸念から、仮想通貨取引所への規制をかけようとする世界的な潮流の一環だと思われる。
メサーリが指摘するように、香港は仮想通貨先物市場において支配的なプレイヤーである。イーサリアム(ETH)先物の約4分の3(72%)、ビットコイン(BTC)先物の57%は、香港からのものだ。

「多くの人々は、グローバルな仮想通貨分野において香港が果たす役割に気づいていない。香港はいくつかの大手企業の拠点となっており、成長する先物市場を支配している」
香港は、ビットメックス、ビットフィネックス、Crypto.com、FTXといった仮想通貨取引所が展開している。またOKExやフォビ、Bybitなどの取引所は、香港に地域オフィスを設置している。テザー、カルダノ、EOS開発企業のblock.oneなどの大手業界プレイヤーも香港にある。
新しい規制案が法制化された場合、ライセンスなしで事業を継続する企業は厳しい罰則に直面する可能性がある。これらのプラットフォームを実行している企業の幹部に、懲役刑が科せられる恐れさえある。
メサーリが指摘するように、これまでのところ、香港でライセンスを取得している仮想通貨サービス企業は2社にとどまっている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン