世界経済フォーラム(WEF)は14日、『より良い地球のためのブロックチェーン活用』と題したレポートを発行した。同レポートは「最も喫緊の」環境問題を解決するためのブロックチェーン活用例を65以上紹介している。
レポートでは、環境的成果のための新しい資金調達モデル、非財務価値と自然資本の実現、より効率的でよりクリーンな分散型システムの概要などが紹介されており、ブロックチェーンを活用して環境保護を強化することができるとしている。
既存のプロセスを改善する可能性に加え、主要な環境問題の管理方法を完全に変えることが期待される「ゲームチェンジャー」としての全く新しいブロックチェーン・ソリューションの可能性についても言及している。
「ゲームチェンジャー」には、透明性の高いサプライチェーン、分散型のエネルギー・水管理システム、持続可能な資金調達源、炭素市場などを取り上げている。
またレポートでは、環境保護のためのブロックチェーン・アプリケーションを導入するため、次の重要なステップとして、特定の個々のプロジェクトに資金を供給するのではなく、「責任ある」グローバルなブロックチェーンのエコシステムを確立することである、と指摘している。
結論では、業界での誇大宣伝に起因する過度なブロックチェーン使用の問題も指摘している。
レポートでは、このような問題を解決するため、ブロックチェーン関連のイニシアチブをスタートさせる際の3つのチェックリストを掲げている。それは、(1)技術が特定の問題を解決できるかどうか、(2)意図しない結果のリスクを許容範囲内で管理できるか、(3)利害関係者の機能的なエコシステムが有効か、というものだ。
WEFは13日、分散型台帳技術(DLT)が貿易金融の分野において、今後10年間で1兆ドル(111兆円)を創出できるとの共同レポートを発表している。同レポートはまた、欧州連合(EU)加盟国をはじめとする政府機関によるDLT採用は避けられないとも指摘している。