世界経済フォーラム(WEF)は13日発表した共同レポートで、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)はトレードファイナンス(貿易金融)の分野で今後10年間で1兆ドル(111兆円)を創出できると結論づけた。
レポートは、ベイン&カンパニーと共同で発行した『トレード・テック - 貿易とサプライチェーン・ファイナンスの新時代』というタイトルのレポートで、世界の貿易金融分野における分散型台帳技術の見通しについて評価。「分散型台帳やその他の技術革新によって、コスト削減や使い勝手が向上し、貿易とサプライチェーン・ファイナンスが画期的に進歩することは確かだ」と前書きで述べている。
貿易と金融業界では、従来の技術への依存が一方、複数のブロックチェーン・イニシアチブが効率化に向けて動き出している。WEFとベインは調査において、分散型台帳の導入により新規取引が増加し、現在の貿易金融との差は1.5兆ドル近くになるだろうと見ている。
「新規取引の約30%もしくは1兆1,000億ドルは、分散型台帳によって障壁が取り除かれた結果生まれるだろう。従来の取引の約40%もしくは0.9兆ドルは分散型台帳に移行し、サービスの質が向上すると共にコストは削減されるだろう」
また、WEFのレポートでは政府機関についても言及し、欧州連合(EU)などの組織でさえ、分散型台帳技術の採用は事実上避けられないと指摘。「クロスボーダーの食糧輸入など、将来を考慮した規制事項の一環として、分散型元帳技術を組み込むべきだ」と結論づけている。
すでにいくつかの政府がこうした動きを始めている中で、遅れを取るとますます不利になるだろう
ベインは6月にもブロックチェーン技術を採用した銀行のコスト削減にもメリットがあるとの調査報告をまとめており、ブロックチェーン分析をするのは今回が初めてではない。