世界的な労務管理プラットフォームのDeelによると、経済が不安定な国の住民は仮想通貨で給与を受け取る割合が高い。

世界の雇用状況に関するレポート」において、Deelは以下のように分析している。「22年は強気市場であるにもかかわらず、プラットフォームから毎月支払われる世界の給与全体のうち仮想通貨が5%を占めていた。21年後半の2%から上昇している」。

レポートによると、仮想通貨で給与が支払われる割合が最も高いのは経済状況や通貨が不安定な国だ。そうした国は、中南米(LATAM)や欧州・中東・アフリカ(EMEA)に存在している。

LATAM地域における仮想通貨での支払いは全体の67%を占める一方で、EMEAの国々は24%だった。それに対し、北米地域が仮想通貨の支払いに占める割合はわずか7%。アジア太平洋地域はさらに低く、全体の2%に過ぎない。

通貨の種類別に見てみると、一番多かったのはビットコイン(BTC)で全体の47%を占めていた。支払いに使用されたデジタル資産の第2位はサークルのUSDC(29%)で、その次がイーサリアム(ETH、14%)。テザー(USDT)はランク外だった。

Deelでオーストラリア・ニュージーランド進出事業を統括するシャノン・カラカ氏は、コインテレグラフに次のように語っている。一般的に「労働者は給与の一部のみを仮想通貨で引き出している。つまり、いまだに(仮想通貨を)長期的な投資手段として利用している可能性が高い」

「実際に調査してみると、仮想通貨での給与受け取りが最も好ましい場合は主に3つある。1. その地域の通貨の不安定性をヘッジするツールとして利用する場合。2. 旧式の銀行システムが原因で給与の支払いが遅れる可能性のある地域で働いている場合。3. 投資ポートフォリオに仮想通貨を加えている場合。当社の仮想通貨引き出しにおいてはLATAMやEMEAが大部分を占めているが、その理由は1と2によるところが大きいと思われる」

Deelは今年1~7月の期間について、同社のプラットフォームにおける国を越えた労働者契約10万件以上のデータを分析した。同社は、様々な国において法令に沿った雇用や給与の支払いを支援している。国際的な雇用という面で最上位に立っているのはLATAM地域だという。