Mozillaの前CEO、ブレンダン・アイク氏による新興企業Braveが、従来の株式による方法ではなくICOにより3,500万ドルの資金調達に成功している

ICOにより資金調達を行う人がそれほど多くない中、アイク氏が数十秒でこれだけの額の資金調達を成功させたことで、業界内の風向きは一変しそうだ。

 

企業へのアピール

 

2014年にMozillaを去るまで同社でCEOを務めていたアイク氏は、Braveで総額700万ドルの資金調達に成功している。Braveにおけるアイク氏のヴィジョンは、ブロックチェーン技術により現在の広告システムをより円滑で効率的なものに刷新することにある。

ICOは従来の株式による資金調達の方法を仮想通貨によって塗り替えるものだ。これを利用するため、Brave社は通称BATと呼ばれるベーシック・アテンション・トークンという独自のトークンを開発し、集めた3,500万ドルから10億BATを販売することに成功している。残りの資金は将来的なBrave社の開発資金に充てられる。

暗号通貨や、仮想通貨と呼ばれる独自トークンを利用した資金調達のアイディアは、現在、テック業界において極めて魅力的なものとなってきており、アメリカのメッセンジャーアプリを開発しているKikなども、商品やサービスを購入できるKinという独自の暗号通貨トークンの開発プランを発表している。

Braveのシステムは、ユーザーに読み込みの早いブラウザ体験と強固なセキュリティを提供することが可能なものとなっている。今回のICOを通じて得た資金を元に、より効率的な広告システムが生み出されるだろうと期待されている。

 

株式を利用しないトークン・セールという形

 

こうした仮想通貨による資金調達の動きによって、クリプト関連企業が株式ではなく仮想通貨の利用し、仮想通貨や暗号通貨といった存在がよりポピュラーなものになることが予想される。事実、Open Ocean VCのベンチャーキャピタリスト、マックス・メルシュ氏も次のように述べている

 

「トークン・セールは、最早、ブロックチェーン関連企業やプロジェクトがコミュニティやアーリーアダプターたちから資金を調達する新たなメカニズムです」

 

また、ビジネスオーナーを含む多くの有名投資家たちが、今後何百万ドルという価値に相当する仮想通貨を売り資金調達を行うなどの可能性もある。しかしながら、新たなテクノロジーの恩恵を受けたいと願うインデペンデントな投資家たちが投資する余地をある程度残すことも、もちろん企業側は考えていくはずだ。Braveや他の開発者たちが願う基本的なゴールは、ICOを企業が新たなイノベーションに参加できるようなごくありふれた場所にすることにある。

Kikの他にも、アジアに拠点を置く決済代行会社、Omiseもまた、Kikに続く姿勢を見せており、今月中に2,000万ドルは調達できるよう調整し始めているという。こういった関心は、大手のハイテク系新興企業の多くがこうした独自の仮想通貨を保有しているという点から注目が集まり派生したものだ。彼らの多くが、こうしたICOのシステムは将来的に当たり前のものになる可能性があり、”ビッグ”になるためには今すぐにでもICOを利用することが良いアイディアであると信じているという。

上記の例に挙げた企業はさて置くとしても、さらに多くの機関投資家や企業が仮想通貨を受け入れ始めれば、ICOもよりその知名度を増し、ポピュラーな存在として台頭してくることだろう。