米国と中国の貿易戦争は2018年1月に始まった。18年7月に中国に対して関税を課した時、ビットコイン(BTC)のかっかうは、8487ドルから6000ドルまで約30%急落していた。

現在、米国と中国は新型コロナウィルスの発生源を巡って争い、新たな貿易戦争を開始しようとしている。米国のトランプ大統領は最近、「中国に失望している」と語り、米中間で結んだ貿易協定から離脱する考えを表明している

米中の貿易戦争が再び激化することとなれば、ビットコインの価格への影響も避けられる恐れがある。1つは機関投資家や中国人による投資意欲の減退につながる可能性だ。

BTC市場で大きなシェアを占める中国

Diarの2019年のレポートによれば、中国でのオンチェーンのテザー需要は2019年6月時点で100億ドルを超え、19年第2四半期のテザーの62%を占めていたという。「ブロックチェーン分析企業チェイナリシスがDiarに提供したデータは、中国でのテザー需要の大きさを示している。2018年に中国拠点の取引所でのテザーの需要は160億ドルを超えていた」というChina’s share of the Tether market

出典: Diar テザーの中国でのシェア

中国では仮想通貨取引が厳格に禁止されているにもかかわらず、実際には中国の投資家は世界のビットコイン市場でかなり大きなシェアを占めているといわれている。

米国からの圧力が強まり、中国への資本流入が鈍化した場合、株式やビットコインといったリスクの高い資産への投資意欲が減退する可能性がある。

過去のデータを見ると、地政学的リスクが高まれば、ビットコインが急反落する事例もある。たとえば、前述したとおり、米国が中国に対する関税を導入した直後、ビットコインは8000ドル半ばから6000ドルに急落した。

Bitcoin price chart when tariffs were imposed in 2018

出典: Tradingview 中国への関税導入でBTC下落(チャートの青枠部分)

機関投資家の需要が低下する可能性

米中間の貿易戦争再燃は、米国の株式市場に対してもネガティブな影響を与える可能性がある。

企業の多くが新型コロナウィルスの影響で苦しんでいる中、米中貿易戦争が破棄されることになれば、株式市場の調整もあり得るだろう。

そうなれば機関投資家に対してもダメージとなり、ビットコインといったほかの資産が連動して下落する恐れもある。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン