ビットコイン(BTC)の強気派は、6月の安値17,500ドルからの回復にまだ安心しない方がよいかもしれない。BTCが今後最もリスクの高い月である9月を迎えることになるからだ。
セプテンバー・エフェクト
2013年から2021年の間の過去のデータをみると、2015年と2016年を除き、9月はビットコインにとっても最も悪い月であったことがわかる。同時に、9月のビットコイン価格の平均下落率は-6%となっている。
興味深いことに、これまでの9月におけるビットコインの不調は、株式市場での同様の落ち込みと一致している。例えば、米国のベンチマークであるS&P500の9月の平均下落率は、過去25年間で0.7%だ。
チャート分析では、この毎年9月に発生する落ち込みを 「セプテンバー・エフェクト」と呼んでいる。
投資家が夏休みから戻った9月に市場ポジションを閉じ、年の終わりに向けて利益を確定し、あるいは税損失を確定させるとアナリストは主張している。
一方、個人投資家の場合、子どもの毎年の学費のために9月に資産を清算するとも言われている。
ビットコインの株式市場との相関は、コロナウイルスのパンデミック以降、おおむね正の相関となっている。したがって、「セプテンバー・エフェクト」に加え、こうしたミラーリングの価格動向も、不吉な月にBTCが下落する可能性を高めるかもしれない。
FRBの利上げに注目も
2022年のビットコインの損失は、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに対する懸念から引き起こりました。
しかし、市場のシナリオは、インフレがピークに達したという期待に変わった。7月の米消費者物価指数(CPI)が前月の9.1%から8.5%に軟化したことで、FRBが引き締め策を縮小するとの観測が強まり、この観測は一段と強まった。
これは、下図のように、ビットコインとS&P500が年間の損失額を少しずつ取り戻した時期と一致するものだ。
しかし、一部のアナリストは、ビットコインの回復はブルトラップであり、市場が底を打ったと考える投資家を罠にかける「リリーフ・ラリー」である可能性があると見ている。
さらに、インフレ率を2%まで低下させるという公約から、ほとんどのFRB関係者は9月の次回会合で75ベーシスポイント(bps)の利上げを行うことを依然として支持している。
その結果、ビットコインとS&P500は、9月にみられる調整トレンドが起こり、さらなる年初来安値を目指すリスクがある。
1万7600ドルへの下落か?
テクニカル的な観点からは、ビットコインは現在の「弱気フラッグ」パターンから下抜けてしまえば、9月までに19,250ドルに向けて下落することになる。弱気パターンは、以下の4時間足チャートに示されている。
一方、日足チャートでは、BTCは8月19日以降、上昇ウェッジパターンから下抜けてる形となっている。弱気の反落のパターンの価格ターゲットは、下図に示すように、17,600ドル近辺になる。
全体として、9月はテクニカル、ファンダメンタル、マクロの要因から、再びビットコインにとって厳しい月になる可能性があるように見える。