米大手銀行JPモルガン・チェースが開発したJPMコインについて「仮想通貨と呼ぶな」という声が出ている。

米国の仮想通貨シンクタンクCoin Center(コイン・センター)のジェリー・ブリトー氏は、ブログの中で、JPMコインを仮想通貨と呼ばないことの重要性を指摘。そもそも「コイン」と呼ぶことに語弊があると主張した。

ブリトー氏は、JPモルガンが質問欄で述べているように、「仮想通貨(Cryptocurrenccies)」は「パブリックでオープン」であり「担保するものがなく、価値がコインに内在」する一方、JPMコインは「JPモルガンが持つ法定通貨に対して1対1で交換可能」で「許可性」、つまり「JPモルガンのKYC(顧客確認)を通った企業のみ使うことができる」と指摘。「仮想通貨」が「仮想通貨」である所以は、誰もが誰からの許可も得ずにコンセンサス形成に参加できる点であり、JPモルガンが作ったものとは大きな違いがあると解説した。

JPMコインについて最初に報じた米経済番組CNBCは、「JPモルガンが決済ビジネスを変えるべく、米国銀行で初めて仮想通貨を開発している」と報じた。

ブリトー氏によると、今回のJPモルガンのプロジェクトを正確に言い直すと「JPモルガンが持つドルを顧客が瞬時に送金できる新たな銀行間の決済ネットワーク」。「新たなコイン」と言う必要はなかったという。ただ同氏は「そういう風な言い方をすれば混乱は避けられただろうが、あまり注目を集めなかっただろう」と話した。

JPMコインについて、クロスボーダー(国をまたいだ)送金市場でSWIFTやリップルのライバルになるという見方が出ている。

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これまで「ビットコインではなくブロックチェーン」という無理な建て付けが混乱を呼んだように、ブリトー氏は「今後銀行がわざわざ仮想通貨と比較する必要性に駆られること」を懸念。実際、「不誠実な銀行」がeコインがリスクなしで仮想通貨の恩恵の全てをもたらすと言いだすかもしれないと話した。

実際、ブリトー氏の懸念はすでに現実のものとなっている。

先週末、CNBCのあるコメンテーターは、JPMコインの登場によって「ビットコインなど他の仮想通貨の必要性はなくなるかもしれない」と述べた。