ビットコインの価格はUTC時間の8月18日午後9時35分頃にわずか10分間で8%以上急落し、仮想通貨市場全体が揺らぎ、仮想通貨コミュニティの人々が頭を悩ませた。イーロン・マスク氏率いるスペースXがビットコイン(BTC)保有分を売却したとの報道、中国の不動産大手の破綻、金利上昇の懸念がビットコイン価格の急落の原因となったとの説が浮上している。
市場が突如として下落した理由については意見が一致していないが、いくつかの仮想通貨市場のアナリストがコインテレグラフに対して自らの考えを共有してくれた。
スペースXのBTC売却と金利懸念
eToroの市場アナリスト、ジョシュ・ギルバート氏はスペースXが3億7300万ドル相当のビットコイン保有分の一部または全部を売却したとのウォールストリートジャーナルの記事がBTC急落の原因だと指摘している。
「業界の大物、特にイーロン・マスク氏のような影響力のある人物がビットコインを売却すると、価格に下落圧力がかかる」とギルバート氏は語った。価格の急落はWSJの記事がオンラインで公開された約2時間後に起こったことになる。
また、ギルバート氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)からの金利引き上げ観測による市場全体のセンチメントの急速な変化がもう1つの理由であると指摘する。
「金利が長期間高止まりする可能性が高いとの予測、そして最近の世界市場、特にリスク資産で見られた弱さを考慮すると、これらが価格の引き下げの原因となった」と彼は説明した。「ビットコインは過去1ヶ月で上昇の足が見つからず、2万9000ドルと3万ドルの間で狭いレンジで取引されており、資産を押し上げる『良いニュース』が少ないため、今回の下落を強めることになった」と彼は付け加えた。
国債利回り
CMCマーケッツの市場アナリスト、ティナ・テン氏は異なる意見を持っている。同氏よれば、最近の国債利回りの上昇が売り圧力の根本的な原因だ。
テン氏は、国債利回りの上昇は通常、市場全体の流動性が減少していることを示すと説明する。「これが仮想通貨が急落した主な理由である可能性がある」と彼女は話す。
さらに、恒大集団(エバーグランデ)の危機がビットコインの価格に間接的な影響を与えた可能性はあるものの、それが価格下落の根本的な原因の一つであるとは考えていないとテン氏は言う。「これはむしろ中国経済と投資家に対するセンチメントに影響を与えている」と彼女は語った。
中国人民元のリスク
テン氏は恒大集団の要因は低いと評価したが、マトリックスポートの調査責任者マーカス・ティーレン氏は、中国人民元切り下げのリスクがビットコイン相場の下落の大きな要因として働いた可能性があると主張する。
「最大のマクロリスクは、2007年以降で最も弱い水準で取引されている中国人民元の切り下げの可能性だ」とティーレン氏は言う。
クジラの売り
他にも多くのニュースイベントが原因となる可能性がある中、匿名のデリバティブトレーダーである@TheFlowHorse氏は、大きな売り圧が発生した結果、急落が起こったとコインテレグラフに語った
「これはただの自然な急落ではない。大きなプレイヤーが何か目的を撤退し、それが大きな動きとなった。スポットの取引量はパーペチュアル取引と比較してほとんどない」と彼は語った。
仮想通貨分析プラットフォームCoinglassのデータによれば、過去4時間で4億2700万ドル以上のビットコインのロングポジション(価格上昇への賭け)が清算された。過去24時間では、8億2200万ドル以上のロングポジションが清算されている。

Horse氏は、「純粋な推測」と断った上で、SECが下落の直後にイーサリアム先物ETFの承認するとの予測報道が出たため、大手ファンドがビットコインポジションを売却し、「ETHを購入するための連鎖を引き起こした」可能性もあると話す。
ビットコインは暴落時からわずかに回復し、過去2時間で1.2%上昇した。現在のビットコインの価格は26,619ドルで取引されている。その価格は、SECが10月にイーサリアム先物ETF製品の承認を検討する可能性があるとのニュースに支えられているようだ。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン