次の仮想通貨の強気相場は前回とは大きく異なる形となり、投資家は仮想通貨価格の急騰を即座に期待するべきではない。エンタープライズブロックチェーン「コンコーディウム(Concordium)」の創設者であるラース・セイヤー・クリステンセン氏がコインテレグラフとのインタビューで語っている。
仮想通貨市場で多くの人々が現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)に注目しているが、クリステンセン氏は、ETF承認が即座に仮想通貨市場に大きな影響を与えることを疑問視している。
「ビットコインが急騰するとしても、全てがそれに伴って急騰するとは限らない」と彼は言う。「それが必ずしもイーサリアムや多くの古いアルトコインが後追いで急騰することを意味するのか?私はそれがほぼ確実に起こらないと思う」。
クリステンセン氏は、デジタル資産の価格は過去18ヶ月間で低下している一方で、企業側からのブロックチェーン技術への関心は衰えていないと指摘する。
つまり、業界の次の大きなステップは、2021年のように仮想通貨の価格が急騰する「セクシー」な上昇ではなく、むしろこれからの18ヶ月間で徐々に成長するより地味なものになるだろうとの見方を示した。
「企業の人々が暗号資産を必要とする唯一の理由は、特定のブロックチェーン上で彼らが行いたいことを実行するためだ。だから、特定の仮想通貨が価値を大幅に上げる必要はないということを理解する必要がある」と指摘する。
しかし、全ての人がクリステンセン氏に同意するわけではない。
仮想通貨教育プラットフォーム「コレクティブ・シフト」の創設者であるベン・シンプソン氏は、ビットコインの強気市場の初期段階が始まっていることを示すデータと指標が豊富にあると語った。
「史上最高値からの下落チャートと時価総額対実現価値比率(MVRV)は、私たちが蓄積の最終段階にあることを示唆しており、これはしばしば強気市場の前触れとなる」とシンプソン氏は説明した。
さらにシンプソン氏は次の強気市場ではビットコインやイーサ(ETH)のほか、アプリケーション特化型のトークンやゲーム業界などのセクターが勢いを得ることになると予測する。
「DeFiトークンはリスキーだが、大きな上昇余地を持っており、ビットコインはより広範な採用の中で"静かな勝者"として浮上し、私が最も強気に見ているものだ」とシンプソン氏は指摘する。
過去2年間は仮想通貨業界にとって厳しい時期だった。FTXやセルシウスネットワークなどの仮想通貨企業の崩壊が相次ぎ、業界への投資が減少し、それに伴って仮想通貨の価格も下落した。
米連邦準備制度理事会(FRB)が先週、利上げを一時停止すると決定したことを受け、eToroマーケットのアナリストであるジョシュ・ギルバート氏は、より広範なマクロ経済環境を楽観的に見ている。「ついに、中央銀行が世界的に利下げを開始し、インフレが収まると、投資家はより多くのリスクを取るようになり、金融市場により多くの資本を投入するようになる。そして、仮想通貨はその中心になるだろう」と彼は語った。
最近の市場解説者の多くと同様に、ギルバート氏は来年が上昇に適していると主張する。「2024年はビットコインと広範な仮想通貨市場にとって強気の年になる可能性がある。ビットコインの半減期がこの理論の中心であり、それが楽観的な投資家が注目している主要な触媒だ」と彼は語った。
しかし、CMCマーケッツの市場アナリストであるティナ・テン氏は、大きな利益がもうすぐ訪れるかどうかを判断するのはまだ早すぎると語った。投資家はむしろ、新たな不確実性の波に備えるべきだと彼女は指摘する。
「仮想通貨市場が強気市場の始まりであると言うのはまだ早すぎる。これはマクロ環境に依存し、中央銀行が利上げサイクルを終え、市場に十分な流動性を提供する意志があるかどうかにかかっている」とテン氏は語った。
「金融政策の引き締めがスタートアップ、中小型株、仮想通貨などのリスキーな資産クラスの下落の背景にある。歴史的に、仮想通貨市場のブームはFRBの利下げサイクル中に起こり、利上げサイクル中には起こらない」と指摘する「国債利回りの上昇と債券利回りの逆転が、経済の不確実性を巡る警戒感を与えている」と彼女は語った。
テン氏によれば、強気市場を確認するためには、ビットコインが50日間移動平均線を突破し、再び上昇する流れに乗る必要があるという。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン