リークされたテレグラムICOのホワイトペーパーを入手! 計画の信憑性を検証する

 暗号化メッセージアプリとして人気を博する「テレグラム」に関連したホワイトペーパーがリークされたのを受け、世界中の仮想通貨コミュニティには多くの推測が出回っている。

 テレグラムがブロックチェーンプラットフォームを立ち上げる計画が初めて公になったのは昨年12月だが、計画が正式に存在するかどうかはいまだ不明だ。

 コインテレグラフは今回、リークされたホワイトペーパーの内容を確認。そこにはテレグラムをてこにブロックチェーンサービスと自前の仮想通貨を立ち上げる計画が示されていた。

 ホワイトペーパーの正当性やテレグラムとの実際の関係について、創業者であるドゥーロフ兄弟の裏付けは得られていない。しかしホワイトペーパーでは、メッセージアプリのユーザーやそれ以外の人々に興味深いアプリケーションが約束されている。

「TON」ホワイトペーパーの内容

 テレグラムの2億人のユーザーへのアクセスを生かし、プロジェクトの開発者は、「テレグラム・オープン・ネットワーク(TON)」と呼ばれるシステムを通じて膨大な数の人々を取り込もうと考えている。

 TONは拡張性のあるマルチ・ブロックチェーンアーキテクチャと説明されており、プルーフオブステーク・プロトコルを使用して、ホワイトペーパーが言うところの「ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨が直面している大きな障害」に対処できるという。

 ホワイトペーパーは、現在多くの仮想通貨における大量の取引を処理する能力の欠如や不親切なユーザーアプリケーション、仮想通貨に対応した商品やコンテンツ、サービスの制限などを障害として挙げ、TONならば対処できるとしている。

 プロジェクト開発者は、テレグラムの巨大なユーザー基盤を活用し、サービスの大規模な適用に必要な臨界量に到達させることを目論んでいるようだ。

ブロックチェーン

 ホワイトペーパーによれば、TONブロックチェーンは「拡張性と柔軟性を備えたブロックチェーンアーキテクチャであり、メインチェーンとそれに伴う292本のブロックチェーンから構成される」。

 選ばれた種々のプロトコルにより、1秒間に数百万件の取引を処理できるという。

 それを可能とするのは、無限「シャーディング」パラダイムだ。ネットワーク負荷の違いに応じてブロックチェーンを分割・融合できる仕組みである。さらに「インスタント・ハイパーキューブ・ルーティング」により、各ブロックチェーンの取引を横断的に管理することになっている。プルーフオブステーク・プロトコルに加え、2-D分散型台帳により、TONは「不正確と証明されたブロックの上に有効なブロックを新たに構築し、不要なフォークを避ける」ことができるのだという。

グラム(Gram)– TON独自の仮想通貨

 ブロックチェーンが稼働した暁には、TONはいくつかのサービスを立ち上げる。データストレージや仮想プライベートネットワークのサービス、それにDNSや独自の決済システムなどである。

 決済システムには、TONオリジナルの仮想通貨「グラム」が使用される。

 ユーザーはグラムを使用して、テレグラムが提供するコンテンツやサービス、その他の分散型サービスの決済を行うことができるようになる。

 当然の流れとして、これらすべてを実現するために、TONは2018年の第1四半期中にトークンセールを行う予定だ。合計で50億グラムを発行し、そのうち2億グラム(4%)は開発チームが4年間売却せずに保有する。

 投機的な動きへの対策として、初期開発および立ち上げの段階では全体の発行量の52%をTONが蓄えておく。残りの44%は、トークンの着実な値上がりを保証する数式に基づいて販売される。

TON

正式な計画なのか?

 ここまで同ICOの具体的な内容を確認してきたが、これでプロジェクトの正当性や、テレグラムやその創業者、開発者との関わりの噂について議論する土台が整ったことになる。

 ドゥーロフ兄弟や、何人かのテレグラムの上級開発者の名前がホワイトペーパーに挙がっている。しかし兄弟のどちらも、これまで正式なコメントを出していない。

 にもかかわらず、ソーシャルメディアでの反応は様々に入り乱れているようだ。

 TONとつながった一連の分散型暗号化サービスの提供に心を躍らせているユーザーもいる。

 「ネット上にリークされたテレグラムのICOホワイトペーパーで明らかになったが、個人的に一番楽しみなのはTONストレージ(つまり「分散型ドロップボックス」)やTON DNS(親しみやすいアカウント名)、TONプロキシ(アノニマイザー)だ。」

 開発チームが初期段階でグラムを大量に保有するという計画に懸念を示すユーザーもいる。

 「@durov 君のチームはPOSの仕組みを理解しているのか? ICOはとてもうまくいくだろうが、正直なところ、ホワイトペーパーにおいて君自身がすでに『TON』の脅威となっている。POSのコイン/トークンは会社のように分配したり、52%も保有するようにはできていない。一体どうなっているんだ?」

空想にすぎない?

 何人かのブロックチェーンや仮想通貨の専門家に聞いてみた結果、いくつかのポイントが浮かび上がってきた。

 今回のホワイトペーパーは「楽しいフィクション」と呼ぶのが一番ふさわしい、と話すのは、ICObench.comの顧問であるヴァシリー・スマノフ氏だ。

 巨大なユーザー基盤を抱えているため、テレグラムのファンがさらに巨大な姿を夢見たとしても理解はできる。自前の仮想通貨と連携したサービスを備えた超国家コミュニティ。それはある種の仮想通貨ユートピアだ。

 もしこのホワイトペーパーがフィクションだった場合、多くのことを期待させる魅力的な文書が作成されたことになる。シャーディングテクノロジーは現行のプロジェクトでは実現できないかもしれないが、そのように大量の情報を保管できるブロックチェーンが必要かどうかも明確ではない。292本のサイドチェーンがあるブロックチェーンを収納できるノードにはどれだけの空間が必要なのだろうか?

 またホワイトペーパーでは、初期の開発段階におけるトークンの利用制限について、優れた仕組みを利用している。投機的な投資家を駆逐し、テクノロジーの真の価値を信じる長期的な資本家を優遇するものだ。

 今回「漏洩した」ホワイトペーパーの成果が何かあるとすれば、それは実世界で重要なソリューションを提供する、定着したアプリケーションに関連したICOに対する大きな関心に光を当てたことだろう。

 テレグラムやその創業者は今回多くの注目をあびたことに感謝しているだろうが、ブロックチェーンテクノロジーに基づいた正式なICOを実際に計画しているかどうかはまだ分からない。

 学術研究者としても活動するスマノフ氏は、ドゥーロフ兄弟が実際にICOを計画しているのであれば、大々的に発表するはずだし、憶測を呼ぶような真似はしないと考えている。

 「中身がとても単純だし、話が出来すぎている。ドゥーロフ氏がICOを実際に計画しているとしたら、もっと独自性のあるホワイトペーパーを携えて公に発表するはずだ。ドゥーロフ氏がリバタリアンであることを考えると、何らかの形で自前の仮想通貨とサービスをテレグラムに統合するだろう。それがICOという形になるかどうか? 今はまだ分からない」とスマノフ氏はコインテレグラフに語った。

本物?

 これに対し、ICOBoxの設立者マイク・レイツィン氏は、ホワイトペーパーの信憑性についてかなり前向きな立場を示している。ドゥーロフ兄弟が以前ICOの可能性に言及していたことを踏まえ、文書は正当なものだと主張する。

 さらに、テレグラムの成功とその構築ネットワークが、真に汎用的な仮想通貨の触媒になりうるという。

 「ビットコインやイーサリアムなどの既存の仮想通貨は革新的な可能性を秘めているにもかかわらず、大衆を引きつけるのに必要な要素が欠けている。ブロックチェーン技術の現状は非常に有望だが、一般的なユーザーを引きつけ、新たなテクノロジーの可能性を最大限発揮できるような、使いやすいメインストリームの仮想通貨が熱望されているのは明らか」とレイツィン氏。

 同氏によれば、TONの裏付けとなるテクノロジーはこれまでにないもので、シャーディングなどの独自技術が利用できる。シャーディングは、ブロックチェーンの処理速度や拡張性を増し、巨大なユーザー基盤を支えることができるとされている。

 レイツィン氏はプロジェクトの巨大な規模については心配していない。巨大化はブロックチェーンテクノロジーの自然な流れだという。

 「TONは第三世代のブロックチェーンプロジェクトとして、これまでより大幅に優れた機能をユーザーに提供するだろう。TONはマルチ・ブロックチェーンプラットフォームとして設計されているが、広範なサービスを提供するプラットフォームへの需要が高まっており、それに対応するものになる。速さと拡張性、直感的なユーザーインターフェイスをもたらし、交換所としてユーザーの関与が高まるだろう。」

 同氏の言うことが正しければ、ドゥーロフ兄弟は今年後半に発表を行い、プロジェクトの正当性を裏付けるか、または否定するだろう。

 Polynom Crypto Capitalの設立者アレクセイ・イワノフ氏がコインテレグラフに語ったところでは、TON計画の一番の重要ポイントはテレグラムの巨大なユーザー基盤にあるという。提案内容が本当に実行されれば、それに対峙できるのは巨大ソーシャルメディアだけだろう。

 「2億人近くのユーザー基盤を有し、決済プラットフォームを提供することができる。それを超えるのはフェイスブックやグーグルだけだ」とイワノフ氏はいう。

偽のプリセールが登場

 一方で、グラムのプリセールを告げる広告がフェイスブックに登場した。

TON

 これをうけ、ドゥーロフ氏は16日、同ICOにまつわる詐欺の可能性について警告した。

 「@durovさん、https://gramtoken.ioはテレグラムのICOですか?」とするツイートに対し、「これは詐欺だ。注意せよ」とツイートしている。

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