金融庁研究会が第3回会合、仮想通貨のリスクやブロックチェーンの可能性などを議論

 金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」が22日に開かれ、仮想通貨のリスクや、ブロックチェーン技術の可能性などについて議論が行われた。

 研究会メンバーのみずほ総合研究所の三宅恒治・金融調査部長が「日本におけるリテール決済とブロックチェーン技術を巡る動向」について報告した。三宅氏は、決済手段として仮想通貨について、ボラタリティの高く、価値が不安定であると指摘。また既存のほかの決済インフラと比較しても処理能力が劣り、消費者保護の面でも課題が多いと説明した。

 一方でブロックチェーン技術や分散型台帳技術(DLT)はポテンシャルを秘めていると話す。ブロックチェーンではデータのバックアップやシステムの冗長化が不要でコスト削減効果が見込め、取引処理の速度向上にもつながるとしている。また金融分野に留まらず、スマートコントラクトなどを用いることで幅広い分野で活用できる可能性があるとしている。みずほフィナンシャルグループでの貿易金融での応用事例などを紹介した。

仮想通貨のリスクは?

 また事務局から討議してもらいたい事項が提示された。「仮想通貨がもたらすプラスの面やリスク」、「仮想通貨交換業に着目して制度的な対応を進めていくべきかどうか」といった論点が上げられ、研究会の参加者から意見が出された。

 委員の坂勇一郎弁護士は、「先進国では決済手段として使われてなく、プラス面は限定的だ」と指摘する声も出た。ハッキング事件が起こっており、マネーロンダリングにも実際に使用されているほか、投機的な利用の拡大で金融や投資への不適切な認識が若い人に広まるのではないかといった点を挙げ、「リスクの方が大きい」と指摘していた。

 一方でほかの委員からは「具体的なリスクを議論するには『仮想通貨』という大枠ではなく、仮想通貨交換業者のビジネスモデルに即した上で議論するべきだろう」と指摘する声も出た。

 仮想通貨交換業者を対象とした規制が主流となっていることについては、ほとんどの投資家が仮想通貨交換業者を通じて取引に参加していることから、「必然的だ」とする意見が多かった。また中島真志氏は「マローロンダリングや犯罪資金などでも、最終的に問題となるのは法定通貨に交換する局面であり、その面からも仮想通貨交換業者を規制する意義は大きい」との意見を出した。また、ほかの委員からはICO発行者への規制の必要性を指摘する意見も出た。

イノベーションとのバランス

 東京大学の福田慎一教授は、イノベーションに留意した対応の必要性を指摘した。福田氏は「多くのイノベーションは想定した通りには起こらない」とし、仮想通貨についても当初はP2Pによる取引ということが想定されていたが、そうではないところで発展していると語った。「仮想通貨は貨幣の3つの機能を有していないといわれるが、それを理由にイノベーションが失敗とは言えない」とする。「どう利用しやすくするかもイノベーションである」と述べた。

 また福田氏は、交換業者中心の規制は法定通貨との交換が前提となっているからであり。将来的に法定通貨への交換を必要としなくなった場合のビジョンも考えるべきだと述べた。Japan Degital Designの最高技術責任者を務める楠正憲氏も「仮想通貨だけで完結する取引で何が行われているのか。仮想通貨ネイティブな取引への注視が必要だ」と意見を述べた。

 

 

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