MYXファイナンス(MYX)の価格が過去1週間で約1400%急騰し、水曜には過去最高値の18.42ドルに達した。
MYXファイナンスとは何か
MYXはマッチング・プール・メカニズム(MPM)と呼ばれる独自システムを採用する分散型パーペチュアル取引所だ。
通常のオーダーブックや自動売買システム(AMM)を用いるのではなく、まず取引の反対側を共有プールが引き受け、その後にロングとショートをペアリングする仕組みを採用する。中央集権型取引所に近い「スリッページゼロ」に近い体験を完全オンチェーンで実現することを目的としている。
同プラットフォームはUSDC建てで最大50倍のレバレッジを提供し、価格決定には二重オラクルシステムを利用している。
MYXトークン価格が急騰した理由
MYXの需要を押し上げた主要な要因として、ドナルド・トランプ氏関連のイベント、デリバティブ取引の急拡大などが挙げられる。
ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)の上場
9月5日、MYXファイナンスはトランプ大統領とその家族が関連するWLFIトークンを上場すると発表した。
この発表の翌日からMYXトークンは上昇を開始した。DEXで注目度の高いWLFIトークンの上場で投機的トレーダーの注目を集めた。
バイナンス・アルファでのランキング
MYXはバイナンス・アルファの「エアドロップ・TGE(トークン生成イベント)」ランキングでトップに立ち、強気の流れに拍車をかけた。
バイナンス・ウォレットのデータによると、初期ユーザーの割り当ては1トークン当たり5.92ドル相当から、1人当たり8100ドル以上の価値に跳ね上がった。
同時に、コイングラスのデータによればMYXの未決済建玉は4億ドル超に達し、デリバティブ取引活動の拡大を示した。
バイナンス経由でのアクセス増加とパーペチュアル市場での流動性拡大が、リテール投資家のFOMO(取り残されることへの恐怖)を刺激し、投機的な買いを拡大させた結果、MYXは爆発的な上昇を遂げた。
ショートスクイーズが上昇を加速
さらにショートポジションの清算が上昇を加速させた。コイングラスのデータによれば、9月6日から10日の間に、トレーダーは8951万ドル相当のショートポジションを清算し、2345万ドル相当のロングポジションを上回った。
MYXが10〜12ドルを突破し18ドルへと急騰する中、価格下落に賭けていた投資家は損失回避のため買い戻しを迫られ、それがさらなる上昇圧力となった。
流通トークンが少なく、多くの投資家が高レバレッジで取引していることも、価格を一段と押し上げる要因となった。
アナリストが警告する赤信号
MYXの急騰には懐疑的な見方も広がっている。
例えば、3900万トークンのアンロックが価格上昇と同時期に行われ、初期保有者がリテール需要を利用して高値で売り抜けた可能性が指摘されている。
Web3ウォッチャーたちは、日次パーペチュアル取引量が60億〜90億ドルに達する異常なパターンや、バイナンス、ビットゲット、パンケーキスワップを横断するクジラの協調的な行動を疑問視している。これらの動きとショート清算の連鎖が相まって、市場操作の可能性が指摘されている。
X上では、MYXの上昇を「詐欺的急騰」「犯行現場」と表現する声もあり、2025年初頭に90%暴落したマントラと重ねる見方も出ている。
テクニカル指標も過熱感を示している。MYXの相対力指数(RSI)は89〜97まで急騰しており、極端な買われすぎを示唆している。8月にも同様のRSI水準を付けた後、MYX価格は60%下落し、20日移動平均線(緑)と50日移動平均線(赤)が下落ターゲットとなった。
同様の下落局面が再来すれば、MYX価格は今後数週間で2.72〜5.10ドルのEMAレンジに落ち込み、現在の水準から70〜85%下落する可能性がある。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。
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