香港証券取引所が先月28日、株取引電子化の流れをうけ、ディーラーたちが株式の取引を行う「立会場」を閉鎖し31年の歴史に幕を閉じた。同取引所では、最盛期には1000人以上もいたディーラーたちがインターネットでの株取引が普及するとともに激減していた。閉鎖された立会場は、今後展示施設としてうまれかわるという。

ニューヨーク証券取引所ではまだ立会場が運営されているが、ほとんどの取引は立会場の外で行われている。実際、同取引所の売買マッチング・エンジンを搭載したデータセンター施設はニュージャージ州に位置している。ヘッジファンド等は同取引所に料金を払って同施設のコロケーションサービスを利用し、マッチングエンジンに直接接続して高速取引を行っている。

今後、香港証券取引所のように物理的な立会場を廃止するトレンドが続くとすれば、証券取引プラットフォーム業務が一層非中央集権化され、新規参入が容易になっていくだろう。理論上は、規制当局の承認と技術力さえあれば、誰でも実際のオフィススペースなしに、取引所を運営することが可能だ。

仮想通貨の分野においてはこのトレンドはさらに顕著だ。愛好家たちは既に幾つもの異なった小規模取引所を利用しており、ブローカーや業者を通さずに取引を行うことも意に介さない。

ソフトウェア開発者も取引所運営関連のサービスを強化しており、今後も大小規模の取引所が生まれることが予想されている。

香港証券取引所の立会場の終焉は、新たな経済の始まりを告げたのかもしれない。