世界経済フォーラム(WEF)のブロックチェーンプロジェクトのリーダー、アシュレイ・ランキスト氏は、ブロックチェーン技術には様々なユースケースがあるが、このテクノロジーが決して万能ではないと語っている。

「ブロックチェーン技術が将来すべてのシステムの基盤技術にはなるとは思えない」と、ランキスト氏はコインテレグラフに語っている。

ブロックチェーン導入の最大の障害について質問すると、ランキスト氏は次のように説明した。

「その機能には限界や欠点も同様にあり、こういったブロックチェーンに関連するトレードオフのため、多くの高付加価値なユースケースを特定することは簡単なことではない。このことが、おそらく導入への大きな障害となるだろう」

ブロックチェーンは汚職との闘いに役立つ

WEFは今月、公共セクターにおける腐敗や汚職との闘いにブロックチェーン技術の適用を検討した詳細なレポートを発表した。レポートの中では、不正行為による記録の改ざんといったものに、ブロックチェーン技術が有効であると指摘している。

ランキスト氏によれば、集中管理者が必要ないため、ブロックチェーンによって仲介者なしで直接データの管理や文書化が可能になる。WEFはブロックチェーンを使用して、政府の透明性をより強化することを目指している。

「汚職防止は、分散化の恩恵を実際に受けることになり、ブロックチェーンにとっては非常に大きな可能性がある。例えば、記録の削除や検閲は非常に困難になる」と、ランキスト氏は述べている。

万能ではないブロックチェーン

多くの大手企業がサプライチェーン管理などにブロックチェーン技術を活用しようとしているが、ランキスト氏はこの技術は限界もあると語っている。WEFのプロジェクトでは、いくつかそのような限界に帳面することもあったという。

「スケーラビリティ、匿名性、ガバナンスに関連する課題が存在する。たとえば、分散型ネットワーク全体でバグを修正してネットワークのソフトウェアを変更することは難しい。また51%攻撃のような、新しいセキュリティリスクや今までとは異なる攻撃も登場してくる。集中型データベースシステムと比較して、トランザクションの検証速度が遅いこともある」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン