どうやら「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏は過去最大赤字の中でも、保有している総額1370億ドル(約14兆6500億円)の金融商品を使うつもりはなく、今後も株式市場は下落の可能性を示している。これが、ビットコインの強気相場に水を差すかもしれない。

ビットコインはすでに米株式市場との相関関係から脱却している。しかし、現在反発している米株の調整が起きると、ビットコインにも影響を及ぼすことが予想される。Bitcoin S&P 500 realized correlation

(出典:Skew「ビットコインとS&P500の相関関係)

BTCは短期的に下落の可能性

ビットコインは3月の暴落から立ち直り、一時9500ドル近くまで上昇した。

4月の上昇要因はスポットの取引量の優位性に起因している。これは3600ドルから7000ドル台半ばまで個人投資家がビットコインを溜め込んでいたことを示している。

過去の暴騰要因は先物市場からの注文が投機的な短期バブルを生み、クジラのような大口投資家が売りを行うと暴落していた。

コインベースのような仮想通貨取引所からの個人投資家による大量のスポット注文も強気要因の一つだが、これだけで2ヶ月の上昇が続いたとは考えにくい。やはり今後の不安材料は株式市場が短期的にどう動くかだ。

バークシャー・ハサウェイの年次株主総会でバフェット氏は市場で悪いことが積み重なった時、1370億ドルというのは十分ではないと発言。株式総会ではダウンサイト・リスクを意識した発言が目立ち、「今日、明日、来週、来月に株を買うのは奨められない」と話した。

バークシャー・ハサウェイは4月に60億ドル近くの保有株式を手放しており、手元資金は今後さらに増える可能性がある。同社は2008年の金融危機時には潤沢な資金を使って優先株の取得や経営破綻しかかった事業の救済に乗り出していたが、今回はそうした動きは見えていない。

このことからももし市場が嫌気して株価が下落すればビットコインにも影響するだろう。

5月12日に予定されている半減期後にビットコインの調整が始まるかもしれない。

長期的には弱気ではない

Weltのマーケットアナリストのホルガー・ズシャピッツ氏が指摘しているように、過去2回の半減期によって、ビットコインは1万%と2500%の利益を得ている。

Bitcoin price trend after previous halvings

(出典:ホルガー・ズシャピッツ

半減期はマイナー報酬を半分にさせ、新しいビットコインの発行量が半減する。理論的にはビットコインは半減期を境に価格が上昇するとされている。

バフェット氏のような大口投資家が表明した不透明感から、株式やリスクの高い資産をめぐるセンチメントは依然として慎重な状況が続いている。しかし長期的にはビットコインはこうした状況に持ちこたえるだけの力があることをデータが示していると言えるだろう。

一方で、仮想通貨業界からはバフェット氏のスタンスについて非難する声が上がっている

 

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン