ウォーレン・バフェット氏がキャッシュに移行し、リスク資産価格の崩壊の可能性に備えているとされている。ビットコイン(BTC)は年初から70%上昇し、株式と相関しているが、BTC投資家も株式市場の暴落に備えるべきだろうか?
「信じられない時代」が終わる
バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイは、2023年第1四半期の決算報告書によると、株式を133億ドル売却し、キャッシュと米国債へのエクスポージャーを増やしている。一方、同社は自社株の買い戻しに44億ドル、他の上場企業の株式に29億ドルを投じた。
市場は、バークシャー・ハザウェイのパフォーマンスを米国経済の健康状態を測るための重要な指標と見なしており、同社の保有資産は米国の鉄道から電力事業、小売業まで多岐にわたっている。
しかし、米国経済の成長がバークシャー・ハザウェイの成功の要因であると述べていた92歳の投資家は、もはや楽観的ではないようだ。
「多くの企業が昨年よりも減収を報告するだろう」とバフェット氏は先週末のイベントで述べた。そして、「信じられない時代」は過去6か月間で終わろうとしていると付け加えた。
バークシャーは2023年第1四半期にキャッシュでの手元資金を20億ドル増やし、1306億ドルに引き上げた。これは、株式が弱気相場に入った2021年末以降で最高水準だ。さらに、同社は、5%近くの高金利のおかげで、短期国債と銀行預金で大量のキャッシュを保有している。
つまりバフェット氏は米国の銀行危機が進行する中で、株式市場の暴落に備えている。実際パックウエスト・バンコープやウェスタン・アライアンス・バンコープなどの多くの銀行の株価が下落している。
ビットコイン価格はナスダックと相関
世界的な不況の懸念が高まる中で、ビットコインも下落圧力を受けるリスクがある。ビットコインは実際、ナスダックとの100週間相関が約0.42%と最高水準に達している。
さらにブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストのマイク・マクグローン氏は、BTC価格が株式市場の暴落を先行指標になる可能性が高いと予想している。
「リスク資産にとって最悪の状況が終わっていなければ、ビットコインが先陣を切って下落するかもしれない」とマクグローン氏はコメントし、次のように付け加えた。
「ビットコインは2023年5月2日までに約70%上昇しており、株式指数は20%上昇しているが、これは弱気市場の中でのリバウンドかもしれない。 5月にFRBが引き続き引き締めを行い、リスク資産がインフレを緩和するために下落しない限り、引き締めを続ける可能性が高く、どちらの資産も打撃を受けるかもしれない」

短期的には、5月10日に発表される米国消費者物価指数(CPI)レポートが4月のインフレを緩和することをほとんど期待されていない。ブルームバーグの調査によれば、エコノミストらは、コアCPIが約5%で変わらず推移すると予想している。これは、さらなる利上げが控えていることを示唆している。
一方インフレが大幅に低下すれば、FRBは利上げを一時停止し、極端なケースでは利下げを検討する可能性があるだろう。
現在FRBのフェデラルファンド先物は、2023年5月から2024年1月までの間に少なくとも5回の利下げが予想されており、これはバフェット氏のリスク回避戦略に冷水を浴びせる可能性がある。

BTC価格は再び25,000ドルを下回る可能性は?
過去1週間でビットコインの価格は約6%下落し、5月9日には27,350ドルで取引された。
注目すべきことに、これによりBTC価格は50日間指数平滑移動平均線(50日間EMA; 赤い波)である27,950ドルを下回りった。
ビットコインの弱気派は、27,000ドルを次のターゲットとして目指している。

27,000ドルのサポートを大幅に下回れば、特に利上げがさらに行われる場合、BTC/USDを200日間指数平滑移動平均線(200日間EMA; 青い波)である24,600ドル近くまで下落する可能性がある。つまり、6月までに約10%下落する可能性がある。
逆に、27,000ドルからの反発は、BTC価格が30,000ドルのレジスタンスを再び試す展開となり、過去数ヶ月の上昇トレンドを再開する可能性が高まるだろう。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自分でリサーチを行って決定してください。