2,140億ドル規模の巨大企業ウォルマートが、リコールされた食品を判別し自社の製品リストから削除するブロックチェーン技術を利用したシステム開発を行っているようだ。
IBMとウォルマートは10月から提携を結んでおり、当時、IBMの副社長、ブリジット・ヴァン・クラリンゲン氏は次のように述べている―
食品は我々全員に関係する大事なものです。ですから、この国における食糧消費の規模を図るため、ウォルマートと清華共同で、中国国内で実験を行っています。
ウォルマートのインフラ
現在、ウォルマートは自社のITインフラに依存しているため、データベースを検索し、製品の原産地を特定するためには数日かかる。
消費者から食物が傷んでいると苦情が公式に入ってきた場合、ウォルマートのIT部署に警告が行く。原産地、仕入先、出荷時期など、その他の重要な詳細な状況に関連した情報を判別するため、様々なデータベースやサーバーが分析される。
しかし、ブロックチェーンべースのシステムであれば、ブロックチェーン上の元帳にアクセスすすることで、消費者と企業、どちらもリアルタイムでいかなる製品の情報確認もできるようになるだろうと、ウォルマートの幹部は語った。さらに重要な部分は、ブロックチェーン技術は分散型であることから、ウォルマートのブロックチェーン・ネットワークは、ハッカーからの攻撃の対象に晒されることもなく、データ変更の処理に追われることもないという点だ。
アーカンソー州はベントンビルに拠点を置くウォルマートの食品安全部長、Frank Yiannas氏は、こう語っている―
ブロックチェーンがあれば、戦略的に傷んだ食材などを廃棄することができますから、消費者や企業は安心して利用できるはずです。トレーサビリティの強化は、食品の流通システムにおいてどの場面でもプラスになります。他の食品の流通に関する決定を下すために重要な要因も把握し、効率性をより高めることも出来るはずです。
IBMとの提携
ウォルマートは、ブロックチェーン・ネットワークの技術的側面については未だ詳細を明かしていないものの、Yiannas氏によれば、ウォルマートは、IBMのブロックチェーン・ベースのシステムとネットワークを利用して独自のプラットフォームを開発しているようだ。2016年の暮れから、IBMはエンタープライズ・クラスのブロックチェーンサービスを企業に提供している。
ブルームバーグは、ウォルマートがIBMのブロックチェーン・ネットワークを採用して商業的に大規模に展開することを決定すれば、過去最大級の商業用のブロックチェーン実装例になる可能性が高いと指摘している。
輸出入が行われれる全ての食品の状態が追跡され、出荷日や、原産地など、全てがしっかりと記録、管理される日も近いだろう。