イーサリアムの共同創業者であるヴィタリック・ブテリン氏は分散型取引所ユニスワップのネイティブトークンであるUNIについて、オラクルトークンとなることで実用性を大きく高めることができると発言した。

ブテリン氏は11日、ユニスワップのガバナンスフォーラムに分散型金融(DeFi)エコシステムの成功は「安全性の高い価格設定のオラクル」に依存していると投稿。DAIなどのアルゴリズミック・ステーブルコイン、合成資産、担保付きローンはすべてオラクルが必要不可欠と指摘した。しかし問題は、ユニスワップでは現在、ERC-20トークンの価格を決めるためのオラクルが提供されていないことだという。

オラクルとは、ブロックチェーン外(オフチェーン)の情報をブロックチェーン内(オンチェーン)に取り込むためのシステムだ。例えばAugurなどの予測プラットフォームは、ある試合に対し賭け金を設定。予測の勝者に試合結果をブロックチェーンに持ち込む際にオラクルが必要となる。試合結果はブロックチェーンでは処理されていないからだ。プログラムを自動で執行するスマートコントラクトなどを用いた際には欠かせない機能となる。

ブテリン氏は今後、スマートコントラクトを使う分散型金融などの普及が進むにつれて、ユニスワップがオラクルトークンとなるべきと提案した。

「私はユニスワップとUNIがオラクル(例えばAugurやUMAのようなもの)を提供することが必要だと思う。オラクルは堅牢で、外部から攻撃しようとすると非常にコストがかかる価格データを提供できる」

価格データのオラクルトークンとしては、チェインリンクが利用されているが、ブテリン氏はチェインリンクを「素晴らしい」としつつも、「インセンティブの最適化と攻撃コストの最大化に焦点を当てた、よりミニマムな代替案」が必要とし、UNIがこれに最も適していると指摘した。チェインリンクには誤ったデータを提供した参加者がペナルティを受けるようなシステムがないことが問題だという。

今回ブテリン氏がUNIを挙げたのには上昇している時価総額に注目した点もある。

ブテリン氏は分散型オラクルは時価総額の大きいトークンがベースになるべきだと考える。これは時価総額が大きいほど、攻撃のためのトークンを手に入れることが難しくなるからだ。UNIはこのほど、チェインリンクを抜いて、時価総額で最大のDeFiプロトコルとなっている。

今回の提案がもし導入されれば、UNIにも大きな恩恵を与えることになる。ユニスワップはステーブルコインなどから大きく影響を受けており、取引から大きな取引手数料を得ることにつながるためだ。

「もし、チェーン上に大量の強固な合成資産が出現するようになれば、ユニスワップはさらに価値のあるものになるだろう」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン