「ベネズエラがよくやるゴマカシだ」仮想通貨ペトロに連動した新通貨に懸念相次ぐ

 ハイパーインフレに苦しむ南米ベネズエラのマドゥロ大統領が先週末に独自の仮想通貨ペトロにペッグした通貨制度を導入したことについて、専門家から懸念の声が相次いでいる。国の通貨に仮想通貨を連動させるという歴史的な出来事ではあるものの、問題山積というのが実情のようだ。

 ベネズエラでは外貨不足などによってハイパーインフレが止まらず、国際通貨基金(IMF)は今年インフレ率が年率100万%になると予想している。打開策としてベネズエラ政府は、原油価格と連動した仮想通貨ペトロを導入。1ペトロあたり60ドルの価値があるとしてる。17日にはペトロとペッグした新通貨「ボリバル・ソベラノ」を発表。実質的に96%の通貨切り下げになるという。CNBCによると、現在ベネズエラの銀行は、月曜日を休業にして「ボリバル・ソベラノ」の発行を準備。旧来の通貨より0が5桁減ることになるという。

 トランプ大統領は5月、南米ベネズエラ政府が発行する仮想通貨の取引を禁じる大統領令に署名した

 CNBCによると、この政策についてハイパーインフレーションに詳しいジョン・ホプキンス大学のスティーブ・ハンク教授は、「これはベネズエラがよくやるゴマカシだ。ペトロの問題は、ペトロは詐欺であって取引すらされていないということだ」と批判。仮想通貨トレーディングサイトのICOindex.comは、ペトロのステータスを「詐欺(Scam)」としている。

 またCNBCは、マドゥロ大統領が「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)で7億3500万ドル」とツイッターで主張したことに対しても、「なんの裏付けもない」と指摘。ベネズエラ議会自体も「仮想通貨の販売は憲法違反」で原油埋蔵量を違法に担保していると非難しているという。

 さらにカトー研究所のヘンク氏は、「旧来の10万ボリバルを新しい1ボリバルに両替することになるが、実質的になんの違いも生み出さない」と指摘している。

 英紙インディペンデントによると、仮想通貨専門家のフアン・ビリャベルデ氏は、次のように述べた。

「世界で初めて国に支持された仮想通貨を我々は手に入れた。ただ、お祝いの時ではないかもしれない。ペトロは価値のないトークンであって、ベネズエラの税金を支払うために使えるようになるかどうか分からない」

 さらにブルームバーグによると、リスクコンサルタント業者コントロールリスクのラウル・ガレゴス氏は、「ベネズエラ政権が権力を持ち続けるためになんでもやるという姿勢の表れだ」とし「マドゥロ大統領の求心力が弱まってきており、今後何かが起きるかもしれない」と話した。

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