不動産担保のステーブルコインであるUSDRが、償還増加によりダイ(DAI)などの流動資産が枯渇した後、米ドルとのペッグを失った。プロジェクトチームが明らかにした。
USDRは、仮想通貨と不動産保有を組み合わせたもので、住宅や他の実物資産をトークン化することを目指す分散型金融プロジェクトであるタンジブル・プロトコルによって発行されている。
USDRの取引の大部分は、ポリゴン上で動作する分散型取引所(DEX)パールで行われている。
タンジブルは10月11日のツイートで、「短期間でUSDRのトレジャリーから全ての流動性DAIが引き出され、時価総額の下落が加速した」と説明。さらに、「償還用のDAIが不足し、パニック売りが発生し、ペッグが外れた」と付け加えた。
USDRは、協定世界時(UTC)の午前11時30分頃に大量の売りが発生し、1コインあたり0.5040ドルまで価格が下落した。その後、若干回復し、0.53ドルまで上昇した。

このステーブルコインが約50%の価値を失ったにもかかわらず、プロジェクトの開発者たちはこの問題に対する「解決策」を提供すると約束し、「一時的に引き出しを困難にした流動性問題に過ぎない」と語った。
「これは流動性の問題だ。USDRをバックアップする不動産とデジタル資産は依然として存在し、償還をサポートするために使用されるだろう」と彼らは語った。トレジャリーが損失を被ったにもかかわらず、公式ウェブサイトはUTC時間の10月11日21時57分に、その資産はまだコインの時価総額を上回る価値があると述べた。

USDRの担保の14.74%は、コインのネイティブエコシステムの一部であるタンジブル(TNGBL)トークンで構成されている。チームは、残りの85.26%が実際の住宅と「保険ファンド」によって担保されていると主張している。
ステーブルコインは、常に公開市場で1ドルの価値があることを目指している。しかし、極端な市場状況下でペッグを失うことがある。
10月11日現在の市場資本規模で6位の仮想通貨であるサークルのUSDコイン(USDC)は、米国のいくつかの銀行が破産した3月11日に1コインあたり0.885ドルまで下落したが、3月14日にペッグを回復した。テラのUSTは5月にペッグを失い、回復していない。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン