ドル円は、NY市場で111.59円まで上昇。2019年5月以来、9カ月ぶりの円安・ドル高水準となっている。新型肺炎の感染拡大で中国や日本などのアジアや、ドイツなど欧州経済への懸念が強まる中、米国経済の底堅さがドル買いを促している。昨日発表された建設許可件数や住宅着工件数などの住宅関連指標や、生産者物価指数のいずれも市場予想を上回った。

NYダウも115.84ドル高の29,348.03ドルで引けた。19日付のウォール・ストリート・ジャーナルが、中国政府が新型肺炎の影響を受ける企業に、供給網の安定や資金繰りなどで様々な支援を講じると報道。景気支援策が景気を支えるとの観測が広がった。

昨年まで安全資産の代表は円だった。しかし、新型肺炎の感染者が増えていることや、2019年10~12月期の実質GDPが大きく落ち込んだことが嫌気されている。円の安全通貨としての位置付けは変わっていないが、好調な米国経済指標や米国株式相場の上昇を背景にしたドル買いの勢いが強いのだ。

中国と貿易関係が強いドイツの景気指標の悪化が目立ち、ドルに対するユーロ売りが続いていることもドル買いの原因だ。米ドル指数は昨年9月の高値99.330を上回っている。本日はフィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想12.0)に注目。好調な結果となれば、ドル高の勢いは続きそうだ。

ドル円のテクニカル分析と相場見通し

今日のドル円予想レンジ 

110.80~111.80円

米ドル指数先物のチャートは以下の通り。

米ドル指数先物は年初から上昇トレンドが続いている。トレンドはまだ継続しそうだが、RSIが買われすぎの目安である70を超えている。節目の100ポイント近辺まで上昇したら注意が必要だろう。

続いて、ドル円のチャートは以下の通り

ドル円は111.60円まで大幅に円安・ドル高が進んだ。1月17日の高値110.30円を超えたことから、買い戻しを巻き込んでドル高となった。次のターゲットは、昨年高値の112.41円になるだろう。

ただ、短期的にはRSIが70を超えてきている。ドル指数の動きと合わせて注意が必要だ。