米ノースカロライナ州の連邦当局は、大規模な「豚の屠殺」詐欺(ロマンス詐欺)に関連して6100万ドル超相当のUSDTを押収した。同詐欺は偽のオンライン恋愛関係や架空の取引プラットフォームを通じて被害者を狙っていた。
米連邦検事局の発表によると、詐欺師らは恋人を装い、特別な取引ノウハウを持っていると主張していた。その後、被害者を本物そっくりに見せかけた偽の仮想通貨サイトへ誘導し、異常に高いリターンを示す架空の投資ポートフォリオを表示して追加投資を促した。被害者が出金を試みると口座を凍結し、返金のために追加手数料を要求する手口だった。
国土安全保障省捜査局(HSI)の捜査官は、資金洗浄に使われた複数のウォレットを通じて被害資金の流れを追跡。その結果、多額の残高を保有していた複数のアドレスを特定し、押収手続きの対象とした。
検察は、USDTを発行するテザーが捜査に協力したことも明らかにした。「司法省およびHSIは、これら資産の移転に関するテザーの支援に謝意を表する」と発表文は述べている。
仮想通貨詐欺は急増
今回の事件は、恋愛詐欺と偽の取引機会を組み合わせた「豚の屠殺」型を含め、仮想通貨詐欺が急増している中で発覚した。
チェイナリシスの「2026年版仮想通貨詐欺レポート」によれば、2025年の仮想通貨詐欺被害額は170億ドルに達した。人工知能(AI)を活用したなりすましやソーシャルエンジニアリング詐欺は前年比1400%増と急拡大し、従来のフィッシングやギブアウェイ型詐欺よりもはるかに高い収益性を示している。
2025年12月には、あるビットコイン投資家が、AI生成画像と架空の人物像を用いて信頼関係を築いたオンライン「トレーダー」によって退職資金を失ったと証言した。被害者はコインを偽の投資プラットフォームへ移すよう説得されていた。
米検察は、こうした犯罪ネットワークの加害者に対して重い刑を科し始めている。
2月には、7000万ドル超が絡む豚の屠殺詐欺関連の仮想通貨マネーロンダリング事件の主要人物が、連邦刑務所での20年の禁錮刑を言い渡された。裁判所がこの種の犯罪を極めて重大に扱っていることを示す判決となった。
