米議会の議員が内国歳入庁(IRS)に対し、明確で「包括的な」仮想通貨税制の指針を発表するよう求める公開書簡を19日に提出した。米国ではIRSに仮想通貨投資で得た利益を申告した納税者の数が少なく、明確な課税枠組みの導入が求められている。

書簡はIRSのデビッド・カウター長官代行宛てで、差出人として歳入委員会のデビッド・シュワイカートなど各議員の名前が書かれている。

書簡の中で議員たちは、すでに5月にIRSの仮想通貨税制の包括的な戦略の欠如が指摘しているものの、IRSは取り締まりを拡大させる一方、納税者にさらなる指針を示すことを怠っていると主張。予備的な規定が4年前に出された後、IRSには複雑な事態を克服するだけの「時間が十分過ぎるほど」あったと批判している。この規定は14年3月に出されたもので、米国の税の目的に照らして仮想通貨を資産として扱うと示唆している。

「(14年3月に)この件について予備的な指針を発表しただけなのに、IRSはこの指針の適用を優先事項とし、複数の案件で厳格な執行活動を行っている」

また、他の関係機関も納税者のために指針を明確化するよう求めているという。

IRSによるこれまでの厳格な執行の例として、議員たちは、ウォレットサービスも提供する仮想通貨取引所のコインベースを利用している米国人の記録を提出させた、昨年7月の決定を取り上げている。この決定は、長い法廷闘争のきっかけとなった。

議員たちは、IRSは納税者に対して指針に反した場合の罰則を積極的に示し続ける一方、さらに強固な課税枠組みの導入に失敗しているため、納税者が納税義務を果たせなくなっているとみている。

既報の通り今年の確定申告期限目前に公表されたデータによれば、仮想通貨投資で得た利益をIRSに申告した納税者はわずか0.04%に過ぎない