5月18日、米議会下院でステーブルコインに関する公聴会が開かれ、州レベルと連邦レベルの規制が主要な議題となった。下院金融サービス委員会の新設されたデジタル資産・金融技術・包摂小委員会では、ステーブルコインを規制する2つの法案を検討するため、5人の専門家から証言を求めた。

小委員会で審議されている法案は2つあり、共和党案はステーブルコインに関する公聴会に先立ち4月に公表された。それに対抗して、民主党のマキシン・ウォーターズ議員が前回の議会で提出されなかった法案を基にした草案を提出した。

「底辺への競争」が州レベルのステーブルコイン規制において最大の争点であった。共和党案では、ステーブルコイン事業者が連邦準備制度理事会(FRB)を通さずに登録する州を選択できるようになる。底辺への競争とは、規制競争が起こることで、規制が緩くなる方向で競争が起こることだ。

法案の支持者は、米国の連邦・州での二重の銀行規制システムが、この「底辺への競争」を防ぐと主張している。しかし、民主党側はこの主張に納得していない。民主党案では、連邦レベルの適切な規制当局の手に規制権限が保持される。

法律事務所デイビス・ポーク&ウォードウェルのパートナーであるデイビッド・ポルティーヤ氏は、中道的な意見を表明している。彼は「ステーブルコイン発行者に対する連邦規制は、より均一で一貫したルールを提供する一方、州規制は規制と監督においてより多様性と革新を促進することができる。この問題の答えは二者択一である必要はない」と述べている。

いずれにせよ、現行の規制はステーブルコインに適していないと彼は指摘する。連邦政府のステーブルコイン規制が最低基準を設定するメカニズムのほかに、発行規模に基づいて「切り替え」があると述べた。共和党案では、発行者の規模に関係なく、すべての発行者を同一の規制下に置く。

仮想通貨に対して強硬な態度を取るブラッド・シャーマン議員は、ドル建てステーブルコインが米ドルと競合し、それを弱体化させることで、米国の制裁の効果を減らすだろうと主張する。

ベンチャーキャピタル企業The Department of XYZのマット・ホーマー氏は「ステーブルコインは、我々が望むかどうかにかかわらず実現する」と述べ、「米国の発行者と同様に、オフショア発行者もドル建てステーブルコインを作成することができる。米国でそれを行うべきだ」と語った。

仮想通貨に肯定的なウォーレン・デービッドソン議員もホーマー氏に同調し、「彼ら(ステーブルコイン開発者)はしばしば、規制の確実性を求めて我々の国を離れる。それならば、我々が提供できた方がよいだろう」と述べた。USDFコンソーシアムのCEOであるロバート・モーガン氏は、現行の規制構造に賛成し、伝統的な銀行にとってのトークン化の利点について語った。彼はトークン化を「第三の道」と表現した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン