米サンフランシスコ連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は、連邦準備制度は当面の間独自のデジタル通貨を発行する計画がないものの、将来的な導入については研究中だとした。11月下旬、アリゾナ州フェニックスにおける講演後の質疑応答で明らかにした。

 ウィリアムズ総裁は「現時点で連邦準備制度として独自のデジタル通貨を開発しているわけではないが、今後10年を見通せばとても興味深い分野になるだろう。とはいえ、決まった計画があるわけではない現時点では将来のことをあれこれ言うのは差し控える」と語った。

 世界中の多くの中央銀行が独自の仮想通貨を発行するのではないかとの観測が高まっている。ロシアやベネズエラではすでに官製コインの計画が立ち上がっている。

 仮に連銀が仮想通貨を発行してもドルにとって代わるわけではないだろう。むしろ、いまある法定ドルを補完する「デジタル・ドル」として使われる可能性がある。そのデジタル・ドルがどうビットコインなど主要仮想通貨と競争していくかも見物だ。規制当局としての強みを利用して既存の分散型仮想通貨と対抗しようということだってあり得るだろう。

 政府や中央銀行がどのように仮想通貨を既存システムに取り込んでいくのか、あるいはいかないのか。

 ウィリアムズ総裁が言う10年後には想像してもみなかった世界が広がっているかもしれない。