米ボストンとニューヨークの連邦準備銀行は9月26日、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)などのステーブルコインとマネーマーケットファンドとの比較に関するスタッフレポートを公表した。報告書の主な結果として、ステーブルコインとマネーマーケットファンドが取り付け騒ぎ時に類似のパターンを示すことや、ステーブルコインが広範な金融システムに不安定性をもたらす可能性があることが指摘されている。

報告書では、2022年と2023年のステーブルコインの資金引き出しと、2008年と2020年のマネーマーケットファンドの取り付け騒ぎとの間での投資家の行動を包括的に比較している。

「我々の調査結果は、広範な仮想通貨市場の混乱や特有のストレスイベント中に、ステーブルコインが取り付け騒ぎのリスクにさらされることを示している。ステーブルコインが成長し、短期資金市場のような主要な金融市場とより連携していく場合、それは金融システム全体の不安定性の原因となる可能性がある。」

研究者らは、ステーブルコインが0.99ドルを下回る「額面割れ」という現象が発生することを指摘。ステーブルコインの価値が1ドル未満になる「額面割れ」が起きると、保有者たちが一斉に出金を始める動きとなり、これがさらに加速すると資金の大量引き出しとなり、残された投資家の資産が急激に減少するリスクがある。

マネーマーケットファンドにおける「額面割れ」は、ファンドの純資産価値が1ドルを下回る場合に発生する。これにより、1ドルで評価されている投資家の持ち分が市場価格を下回り、投資家の取り付け騒ぎに繋がる。

Image credit: Anadu, et. al., 2023

コインテレグラフの最近の報道によると、イタリアの中央銀行もステーブルコインの取り付け騒ぎを引き起こす要因を特定し、その防止策を講じている。最近の声明で、イタリアの銀行当局は2022年のテラの崩壊を例に、ステーブルコインが「安定していない」との見解を示している。