米国税関・国境警備局(CBP)が、違法に輸入された無線周波数(RF)機器と誤認し、数千台のビットコイン(BTC)マイニング機器を押収していた可能性がある。

これまでの報道によると、中国製のビットコインマイニング機器が昨年9月頃から米国の港で押収され始め、数週間前になってようやく返還が始まっている。CBPの押収は、米連邦通信委員会(FCC)の要請によるものだと業界関係者は指摘している。

しかし、ビットコインマイニング企業ルクソール・テクノロジーの最高執行責任者(COO)であるイーサン・ヴェラ氏は、FCCの要請はビットコインマイニングマシンが無線周波数機器であるとの誤解に基づいていたと語った。

「CBPおよびFCCは、明確な証拠があるにもかかわらず、ビットコインマイニング用のASICを無線周波数機器として誤って分類したと考えている」とヴェラ氏はコインテレグラフに語った。

ヴェラ氏によると、ルクソール・テクノロジーはCBPから受け取った書簡に「無線周波数機器」と明記されていることを確認したという。

米国に輸入される無線周波数機器は、FCC 740フォームを通じて申告する必要がある。しかし、ヴェラ氏はビットコインマイニング機器は無線周波数信号を送信するよう設計されていないと強調した。

「無線周波数機器とは、電波を送受信または操作するための機器を指す。一方、ASICは電気信号を処理するが、意図的に無線周波数信号を生成・送信することはない」とヴェラ氏は述べた。「彼らは誤っている」と指摘している。

マイニング企業が説明求める

当初、この押収は、ビットメイン関連のチップ設計企業ソフゴが原因であると考えられていた。ソフゴは、台湾で発注したチップがファーウェイのAIプロセッサに使用されていたことを受け、昨年10月に米商務省の調査を受けていた。ファーウェイは2019年以降、米国の制裁対象となっている。

しかし、業界関係者の間では、押収の政治的意図や、どの程度続くのかは不透明だと指摘されている。

ヴェラ氏は、いくつかのビットコインマイニング企業がロビイスト団体と連携し、今回の押収に関する詳細な説明を求める動きを進めていると述べた。

トランプ関税の影響に懸念も

押収されていた中国製ビットコインマイナーの返還が始まったタイミングで、トランプ政権が中国製輸入品に対し10%の関税を課す措置を発表した。

ビットコインインフラ企業ブロックウェア・ソリューションズの主任アナリストであるミッチェル・アスクュー氏は、今回の関税が2021年と同様の影響をもたらす可能性があると指摘した。

「2021年には、ビットコイン強気相場がASIC需要を押し上げる一方、COVID-19によるサプライチェーンの混乱が供給に悪影響を及ぼし、結果としてASICの価格が1年間で10倍以上に高騰した」とアスクュー氏は述べる。

一方、ヴェラ氏は、ASICの供給網に「大きな混乱はないと予想している」とし、その理由として、米国に輸入されるビットコインマイナーの多くは中国ではなく東南アジアから供給されていることを挙げた。

しかし、より広範な貿易戦争が起これば、マイニング機器メーカーが米国内での組み立て能力を拡大するインセンティブがさらに高まる可能性があると指摘している。