国連(UN)は、北朝鮮による17カ国に対するサイバー攻撃35件を調査している。AP通信が8月13日に公開した報告書による。同報告書の概要によると、推定20億ドル(2100億円)がハッキングされ、大量破壊兵器の資金源になっているとしている。
国別に見ると、韓国が最もターゲットとされている国で、同報告書では10件、続いてインドが3件となっている。その他、アフリカ、中央および南アメリカ、東南アジア、中東、欧州で攻撃がみられた。
最も大胆な犯行のなかには、国際銀行間通信協会(SWIFT)を狙ったものもある。チリの従業員をリンクトイン経由で「ヘッドハンティング」するなどの行動もあった。また、対象国にあるATMシステムにマルウェアをインストールしするなどもしている。
一方国連は、2019年以降に北朝鮮が韓国に対するサイバー攻撃で仮想通貨取引所をターゲットにし始めたと指摘。韓国の取引所ビッサムはこれまで4回も被害にあったと述べた。
ビッサムは、2017年2月、2017年7月に受けた攻撃でそれぞれ約700万ドル(約7億4000万円)、2018年6月の攻撃で3100万ドル(約33億)円、2019年3月の攻撃で2000万ドル(約21億円)の損失を出した。
また、ある匿名の仮想通貨取引所に対する2018年の攻撃で盗まれた資金は、「取引が少なくとも5000に分けられ、さらに複数の国々を迂回して」動かされたという。
最後に、仮想通貨マイニングに関しては、クリプトジャッキングがよく使用されている。コンピューターにマルウェアをインストールして、システムリソースを使用し、攻撃者に代わって仮想通貨をマイニングするものだ。国連は、アルトコインのモネロをマイニングし、平壌の金日成総合大学にあるサーバーに利益が送られていたとするマルウェアの一部を分析したとしている。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版