英国の金融行動監視機構(FCA)が、2016年に導入した英国版サンドボックスが成功しているのを受け、世界的なフィンテックの規制サンドボックスを立ち上げる。検証のための厳格な規制プロセス全体を経由せずに、革新的なフィンテックの開発が可能となるという。トラストノーズが19日に伝えた

 19~20日にロンドンで開かれている「イノベーティブ・ファイナンス・グローバル・サミット」において、FCA理事で戦略・競争責任者のクリストファー・ウーラード氏は、「企業が『リアルな規模とペースで成長するために』、世界レベルのサンドボックスが求められている」とスピーチした。

 ウーラード氏によれば、英国版サンドボックスの初回申請に申し込んだ企業の90%が(ブロックチェーン企業やスタートアップも含め)市場に参入できたという。「サンドボックスに参加したことにより、多くの企業が資金繰りが容易になった。理由は、新しいテクノロジーがどう採用されていくかについて多くを学ぶことができたからだ」。

 ウーラード氏はまた、規制面での「グローバルスタンダードの希求」が世界的なサンドボックスでの協力体制から生じ、マネーロンダリング(資金洗浄)やKYC(本人認証)といった領域で国際的な規制業務の重複をなくすことができる可能性にも言及した。「今週後半に、ヨーロッパや米国、極東の仲間を含めた関係規制当局との共同作業を開始し、青写真を作成していく。(中略)世界的なサンドボックスへの参加は、極めて重要な第一歩となるだろう。しかし単にイノベーターがアイデアを試す場ではなく、もっとたくさんのことが可能となると考えている」

 ウーラード氏は特に、米国やヨーロッパ、オーストラリア、日本、韓国が「TechSprint」(FCAによる2日間の国際的なフィンテックイベント)で一堂に会し、「マネーロンダリングや金融犯罪、テロ資金といった課題への対処」に専念することを取り上げた。そしてスピーチの最後では、金融セクターでの世界的な協力を呼びかけた。

 「金融は真のグローバルセクターであり、現代の課題に共同で取り組んでこそ意味がある。利用できる機会はそこにある。私たちはそのような機会に手を伸ばし、両手でつかむ準備は整っている」

 FCAは2月中旬に、ロンドンのブロックチェーンスタートアップの「Small Electronic Money Institution(EMI)」(小規模電子マネー機関)登録を許可した。これにより、既存の規制枠組みの中でブロックチェーン基盤の通貨を作成できるようになる。

 さらに最近、FCAはウォレットサービスも行う仮想通貨取引所のコインベースに対し、法法定通貨関連業務のみに適用される電子マネーライセンスを与えた。コインベースは英国で電子マネーを発行したり、決済サービスを提供することができるようになった。

 20日から始まるG20サミットに参加する国際規制機関や政治家は、昨年12月以来、仮想通貨の規制について国際的なレベルで議論し、グローバル規制での連携を進めていく姿勢を示している。