アラブ首長国連邦(UAE)政府が温室効果ガス排出量のネットゼロを目指す一環として、アブダビ政府系の研究機関が新しいブロックチェーンを活用した炭素追跡・取引プラットフォームの立ち上げを発表した。

この新しいブロックチェーンプラットフォームは、12月5日に開催された国連気候変動会議(COP28)で発表され、植林や炭素回収などのグリーンプロジェクトへの投資にリンクした炭素トークンの国際取引を可能にする。

このプラットフォームは、テクノロジー・イノベーション・インスティテュート(TII)の暗号研究センターが構築したものだ。TIIの12月5日の声明によると、世界中の公共機関や民間企業の排出量を登録し、炭素排出量を追跡することができる。

TIIはアブダビの政府機関である先進技術研究評議会に属している。この取り組みは、国の経済を強化し、「質の高い生活のための持続可能な環境を育成する」という「UAEビジョン2021」を推進する上で重要な要素とされている。

TIIによれば、ユーザーは、環境から除去された一定量の二酸化炭素を測定するトークンを作成し、その供給チェーンを通じて追跡することができるという。ピアツーピアのエネルギー取引、廃棄物処理、リサイクル活動、森林管理の取り組みが、このブロックチェーンが利用される最も可能性の高いユースケースだ。監査人も関与し、プラットフォームが透明かつ安全であることを確保する。

TIIは、「計算上の無駄がない」軽量かつ効率的なブロックチェーン実装を採用し、取引をほとんどまたは無償で容易にするとした。

TIIのレイ・O・ジョンソンCEOは、ブロックチェーンソリューションがUAEを技術分野の世界的リーダーにする方向への一歩だと述べた。「COP28でこのデジタル化された追跡・取引プラットフォームを発表できることを誇りに思う。これはUAEがテクノロジーとイノベーションの大国になるためのドライブと、世界の気候行動アジェンダをリードするコミットメントを表している」と語った。

ブロックチェーン技術は、これまで何年にもわたり炭素クレジットの作成と管理に使用されてきた

一方で、ブロックチェーンネットワークによるエネルギー使用量の削減への取り組みも増加している。ソラナ財団は、ソラナネットワーク上のエネルギー使用を監視するリアルタイムの炭素排出量トラッカーを立ち上げた。イーサリアムは2022年9月にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行を完了し、エネルギー消費量を99.9%以上削減した。また、ビットコインマイナーも排出量を削減するために再生可能エネルギー源への移行を進めている

パワーレジャー(POWR)やエナジーウェブ(EWT)など、脱炭素化ソリューションの実装に焦点を当てたブロックチェーンベースのプロジェクトも存在する。

COP28は11月30日にドバイで開幕し、12月12日に閉幕する予定だ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン