米国のトランプ大統領が発表した新たな貿易関税は、米国内外のビットコイン(BTC)マイニング業界に対してさらなる圧力を加える可能性がある。業界関係者は警戒感をあらわにしている。

マイニング機器メーカーが存在する米国であっても、「素材を含めた全サプライチェーンを完全に米国内で完結させることは依然として不可能だ」と、BTCマイニング技術企業ブレインズのチーフマーケティングオフィサー、クリスティアン・チェプチャル氏はコインテレグラフに語った。

トランプ氏は4月2日、全ての対米輸出国に一律10%の関税を課し、主要貿易相手国に対しては「相互的」な関税を導入すると発表した

仮想通貨コミュニティでは、今回の関税がビットコインに与える影響について賛否が分かれており、過大評価されているとする声もあれば、深刻な脅威と見る向きもある。

既存の課題に関税が追い打ち

チェプチャル氏は、マイニング業界はすでに厳しい状況に直面していると述べ、その根拠として「ハッシュプライス(hashprice)」の低下を挙げた。

ハッシュプライスとは、BTCブロックをマイニングするハッシュパワーあたりで得られる1日の収益を示す指標であり、2022年以降は下落が続いており、2024年には初めて50ドルという過去最低水準に達した。

Bitboのデータによれば、2024年3月30日時点でもハッシュプライスは53ドル付近と依然として過去最低圏にある。

Bitcoin hashprice since late 2013. Source: Bitbo

「ハッシュプライスは、マイナーが収益性を測る上で最も重視する指標であり、現在は過去最低水準にある」と、チェプチャル氏は語る。

また同氏は、バイデン政権下ですでにマイニング機器への関税は引き上げられていたと指摘し、中国のマイニング機器プロバイダーであるビットマーズのゼネラルマネージャーであるサマー・メン氏の発言を引用した。

「だがトランプ政権下では、それがさらに厳しくなっている」と、チェプチャル氏は続け、中国の大手ASICメーカーであるビットメインなどが今回の新たな関税の対象となっている点を挙げた。

トランプ氏の最新措置では、中国製のマイニング輸入品に対し既存の20%の関税に加え、さらに34%の追加関税が課されることとなった。これに対し、中国政府は4月4日、報復関税を発動したと報じられている

マイニング企業は「短期的に損失」

さらにチェプチャル氏は、仮想通貨マイニング向けの先端チップは現在、台湾や韓国といった国々で大量に生産されており、これらの国に対しても新たにそれぞれ32%、25%の関税が課された点を指摘した。

「米国が先端チップ製造で追いつくには10年かかる。つまり、米国企業を含めたすべての企業が、短期的には損失を被ることになる」と述べた。

Source: jmhorp

米国の「マイニング覇権」に逆風も

また同氏は、ロシアやカザフスタンといった独立国家共同体(CIS)諸国がマイニング分野で勢力を拡大しており、ハッシュレートにおいて米国を追い抜く可能性があるとも指摘している。

「貿易戦争が続けば、関税が低くマイニングに適した条件を持つこれらの地域で、爆発的な成長が見込まれる」と、チェプチャル氏は警告した。

トランプ氏が掲げる「米国をマイニングの世界的リーダーにする」という目標にとって、今回の関税政策は逆風となる可能性がある。

トランプ氏の仮想通貨に対する姿勢は過去に何度も変化しており、現在はより前向きな姿勢を見せているが、今回の経済政策が仮想通貨全般にどのような長期的影響を与えるのかは、まだ不透明なままだ。