米国のドナルド・トランプ大統領は、かつて存在したダークネットマーケット「シルクロード」の創設者として12年間収監されていたロス・ウルブリヒト氏に対し、全面的な恩赦を与えた。

「先ほど、ロス・ウィリアム・ウルブリヒト氏の母親に電話をかけ、彼女と、私を力強く支持してくれたリバタリアン運動に敬意を表し、彼女の息子ロス氏に全面的かつ無条件の恩赦を署名したことを伝えた」と、トランプ氏は1月21日、自身のプラットフォームであるトゥルース・ソーシャルで述べた

トランプ氏はさらに、ウルブリヒト氏に科された40年の刑期と2回の終身刑は「馬鹿げている」と付け加えた。

ウルブリヒト氏は2013年に逮捕され、シルクロードの創設・運営に関与したとして、2015年に仮釈放なしの終身刑を言い渡された

トランプ氏の公約とウルブリヒト氏の恩赦

ウルブリヒト氏の釈放は、トランプ氏が大統領選挙中に仮想通貨コミュニティに対して行った多くの公約の1つだった。トランプ氏は再選された場合、就任初日にシルクロード創設者を恩赦すると約束していた

しかし、1月20日、ウルブリヒト氏を恩赦しなかったことで、一部のビットコイン支持者から不満の声が上がった。代わりにトランプ氏は、2021年1月6日の米議会襲撃事件に関与した約1500人を恩赦していた

ランド・ポール上院議員も1月21日にトランプ氏宛てに書簡を送り、ウルブリヒト氏の恩赦を求めた。その中で、ポール氏は、ウルブリヒト氏がビットコイン(BTC)を決済手段として利用したダークネットマーケットを運営した一方で、同サイトでトップ5%の麻薬密売人だったマシュー・ヴェラン・ジョーンズ氏が6年の懲役刑で済んだことを指摘した。

これまでの報道によれば、トランプ氏は2020年に「フリー・ロス」キャンペーンに同情的であり、シルクロード創設者への恩赦を検討していたとされる。

ビットコイン支持者はなぜ恩赦を求めたのか?

仮想通貨コミュニティはさまざまな理由でウルブリヒト氏の釈放を求めてきた。一部の人々は、シルクロードが合法・違法を問わず商品を自由に取引できる市場を提供したという理由で、彼が終身刑を受けるべきではないと主張した。

また、ウルブリヒト氏はビットコイン市場の初期の発展に貢献したことから、「ビットコインの伝説」と呼ぶ人々もいた。

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Source: The Bitcoin Historian

ウルブリヒト氏は、シルクロードの運営に関与していたことを否定しなかったが、自身が唯一の責任者またはオリジナルの創設者であるという主張に対しては繰り返し異議を唱えていた

「シルクロードを始めたのは私ではなく、前任者だ。私の理解では、ビットコインとTorを組み合わせて匿名市場を作るというのが元々のアイデアだった。すべては整っていて、彼がそのピースを組み合わせただけだ」と、ウルブリヒト氏は2013年のフォーブスのインタビューで語っている。

ビットコイン普及のための犠牲

一部のビットコイン支持者は、ビットコイン普及への貢献を理由にウルブリヒト氏の釈放を支持した。シルクロードは、違法目的で利用されたものの、BTCを受け入れた最初のピアツーピア取引所の1つだった。

ウルブリヒト氏は2011年にシルクロードを立ち上げ、ビットコインの初期の台頭に貢献したとされる。その年、ビットコインは初の大きな上昇を見せ、6月には当時の最高値である32ドルに到達した。

「私の人生はすべてロス・ウルブリヒトのおかげだ。仮想通貨は私の人生を変えた。仮想通貨がここまで大きくなったのは彼のおかげだ。彼は究極の犠牲を払った。我々全員が彼の仕事から恩恵を受けた」と、ビットコインプロジェクトのプログラマーであるアミール・タアキ氏はXで述べている

ビットコイン支持の億万長者ティム・ドレイパー氏も2019年にウルブリヒト氏の釈放を支持し、米国には彼のような起業家が必要だと主張している

収監中のウルブリヒト氏は、Xを通じてビットコインや仮想通貨に関する投稿を続けている。1月19日には、自身の名前を冠した偽ミームコインについて警告している

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