米国のドナルド・トランプ大統領が、ゲームと暗号資産を組み合わせた新たなプロジェクトを進めていると、フォーチュン誌が事情に詳しい関係者の話として報じた

報道によれば、このプロジェクトは4月下旬のローンチを予定しており、モバイルゲーム「MONOPOLY GO!」に類似した形式になるという。プレイヤーはボード上を移動し、デジタル都市に建物を建設して報酬を得る仕組みとされている。

このゲームを手がけているのは、トランプ氏の周辺人物であり、トランプ氏のミームコインやNFTコレクション立ち上げにも関与したビル・ザンカー氏だという。ザンカー氏の広報担当者は、モノポリーとの類似性を否定する一方で、ゲーム開発に関わっていることは認めたとされる。

モノポリーの知的財産権はハズブロ社が保有しており、同社は1991年にオリジナルのパブリッシャーであるパーカー・ブラザーズを買収している。関係者によれば、ザンカー氏は2024年5月にハズブロに対し、「トランプ版モノポリー」のライセンスを打診していたという。なお、ザンカー氏はフォーチュンのインタビュー要請を拒否している。

トランプ氏の暗号資産分野への傾斜

かつては暗号資産に懐疑的だったトランプ氏だが、2024年の大統領選挙キャンペーンを通じてWeb3分野への関心を強めてきた。同氏の主な暗号資産関連プロジェクトには、現在15億ドルの時価総額を誇るミームコイン「オフィシャル・トランプ(TRUMP)」や複数のNFTコレクション、分散型金融プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」などが含まれる。

また、2025年2月にはトランプ氏が保有するDTTM Operationsが、トランプブランドのメタバースやNFTマーケットプレイスに関する複数の商標を出願している。このメタバースでは、ユーザーが実物およびバーチャル商品を購入できるほか、リムジンや航空機、自動車、列車による移動や公共サービス番組の視聴などが想定されている。

2021年にはビットコインを「ドルに対する詐欺」と呼び、「根拠のないもの」と批判していたトランプ氏だが、その後、暗号資産コミュニティへの支持を取り込む姿勢を見せ、ビットコインの戦略備蓄を創設するための大統領令にも署名した。

Web3ゲーム市場は逆風下に

ただし、トランプ氏の暗号資産ゲームが人気を得るには厳しい現実もある。DappRadarが4月10日に発表したレポートによれば、2025年第1四半期におけるWeb3ゲームのデイリーアクティブユーザー数は6%減少し、業界への投資額も前四半期比で71%減の9,100万ドルにとどまった。

同社は、貿易戦争や地政学的緊張などのマクロ経済環境の悪化が、Web3分野への熱意を冷やしている要因だと分析している。また、「投資家のセンチメントは依然として慎重なままだ」とも指摘した。