デジタルの世界では、データは今や金(ゴールド)や石油と同じくらいの価値を持つようになった。成功を収めるためには、企業はデータを商品のように扱い、取引して利益を得るようにしなければならない。データはAIや機械学習アルゴリズム新しいユースケースを提供できることから特に需要が高まっている。
データ市場が成功するためには、データのスケーラビリティ、品質、価格を考慮しなければならない。そこでブロックチェーン技術の出番だ。低いインフラコストでマーケットプレイスを提供できる。データは貴重なものであり、ブロックチェーンはデータを販売したり利用したりする上で最も重要な要素の一つとなっているプライバシーに配慮しながら、取引を可能にするインフラを提供できる。
ブロックチェーンはデータ市場を変革する
昨年9月、米国のクラウドデータプラットフォームであるSnowflakeのIPOは、ソフトウェア企業として過去最大規模となった。一方でSnowflakeに出資したセールスフォースは2004年にすでにIPOを実施している。
セールスフォースは、何十年も前から維持しているソフトウェアトップの座を守るために、ブロックチェーンへ進出した。セールスフォースは現在、ローコード(最小限のソースコードでソフトウェアを開発すること)プラットフォームにブロックチェーンを使用している。ブロックチェーンを利用することで、利用企業はパートナーやサードパーティの信頼できるネットワーク上で検証済みの分散データセットを共有できる。セールスフォースとSnowflakeは、ブロックチェーン技術を採用することで、企業がブロックチェーンネットワークやワークフロー、アプリを作成し、新しい顧客体験を提供できるようにしている。
テクノロジーは常に進化しているため、企業は競争力を維持するために、ブロックチェーンエコシステムのトレンドやイノベーションを常に注視しなければならない。ガートナーは2019年に「2021年までに、現在のエンタープライズ・ブロックチェーン・プラットフォームの90%は更新が必要になる」と予測した。IoT(モノのインターネット)やAI、日常生活のデジタル化により、世界はこれまで以上に多くのデータを生み出しているため、こうした主張は正しいだろう。
私たちのスマートフォンやノートパソコン、時計を通じて収集されるデータはこれまで以上に複雑で具体的なものになっている。企業はより多くの情報に基づいた意思決定を行い、効率性と収益性を高めることができるようになる。今後、テクノロジーが急速に進歩し、より頻繁に更新を必要とされるようになる。
AIとブロックチェーン技術はデータマーケットプレイスをどのように変えるのか
ブロックチェーンやAIによって技術がさらに進歩することで、企業の意思決定を容易にする自律型サービスを提供する企業が出てきている。これらのサービスは、利益のために自律的に働き、意思決定を容易にするための経済取引を行う。
これらのAIモデルは、関連のある匿名化されたデータを保有している。企業がデータを購入して取得すると、モデルを効果的に訓練することができ、そのモデルを使ったより正確な予測につながる。これは、どのような業界でも利用することができるようになり、AIなしでは実現できない莫大な価値を提供するだろう。
ブロックチェーンでデータのマネタイズを可能にする
データの収益化はかなり前から行われており、相互運用性の低さ、価格設定の問題、データプライバシーの懸念に苦しんできた。これらの課題に対する答えは、ブロックチェーン技術の普及にかかっている。
ブロックチェーンと人工知能を一体化することで、プライバシーを危険にさらすことなくデータ上にAIモデルを構築する能力が、組織や企業だけでなく、個人でも利用できるようになる。マーケッツアンドマーケッツによると、消費者データ市場は2025年までに60億ドル以上に成長すると予想されている。この急成長する市場は多くの業界に関わり、テクノロジーの成長と未来に大きな役割を果たすだろう。
ブロックチェーンによってデータの価値を高めることは、データ市場の取引に安全性と透明性をもたらし、消費者と企業双方に利益をもたらす。データは今や金や石油と同じ価値を持ち、プライバシーは新たな価値のあるデジタル商品となる。未来の世界はもはや有形のものではないかもしれない。
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