NexusLabはチューリッヒに拠点を置くビジネスプラットフォームで、異なる業種をまたいだ10チームを集め、新たなブロックチェーンテクノロジー技術を応用したアプリケーション開発の取り組みを行った―参加しているスタートアップのうち半分は北欧企業である。
NexusLab取締役社長であり、Nexussquared共同創立者である、Daniel Grassinger氏は次のように語っている―
「260以上のヨーロッパの早期ステージのブロックチェーンスタートアップをスカウトし、適正な50の候補者の中から一時的な精鋭チームの選定を可能にすることは、その重要性と広範囲に及ぶ未来のブロックチェーン技術において必須課題です。このような有望なスタートアップがさらなるアイディアを発展させ、新たなビジネスモデルを構築し、そして幅白い業界を跨いだ技術的イノベーションやアプリケーションを促進させるために尽力出来ることを、我々は心から期待しています」
オンラインコンテンツの収益化
イタリアのPaymeabitは、コンテンツ”的”なものの代わりにごく少額のチップ制度をプラットフォームに導入し、オンラインコンテンツによる報酬の受け取り方を変えようとしている。
イギリスはBittunesという名の企業を輩出している。Bittunesは、ユーザーが音楽をデジタルデータとして交換し合うことで収益を得ることが出来る音楽共有収益獲得型プラットフォームである。
全ての曲を米国ドル建てで運用できることから、ビットコインが主要な運用通貨として利用されている。インディーズ音楽のためのメリットベースな競争の激しい市場を構築するのが狙いだ。
データストレージを次の次元へ
フランスのスタートアップ、Carvaggioは、ワインの安全性に関して参考になるユースケースを作り出している。基礎的なセキュリティプラットフォームとしてブロックチェーン技術を利用し、金融業界での経験を活かし決済情報技術と組みあわせ、最先端のソリューションを生み出している。
サイクリング好きな人には、ブロックチェーン上に構築された分散型アプリケーションを提供している、ドイツのYopeがお勧めだ。ここを利用すれば、ユーザーは初期購入の際に、イーサリアムブロックチェーンを利用したグローバルで改変不可能な自転車の所有者登録を行うことが可能だ。
スイスのDoqum.ioはセキュアなクラウドストレージサービスで、クライアントは単一のストレージアカウントで全てのドキュメントを様々なプロバイダから利用することが出来る。ブロックチェーン技術はドキュメント追跡とユーザー認証に利用されている。
ノルディック・ロック
北欧のチームは、プログラムにおける全ての分野で2位に輝き、確固たるその地位と、ブロックチェーンプラットフォーム開発における最も高いそのポテンシャルを実証した形だ。
ノルウェーはTaqanu銀行と共に今回のプログラムに参加し、移住者、難民、そしてリモートワーカーなど、在留資格やドキュメントに関わらずにアカウントがチェックできるようなサービスや、デビットカードなどの銀行サービスを含むブロックチェーンベースのベーシックなサービスを提供している。
エストニアは、ProofOfYouとFirst Walletというサービスでプロジェクトを揺るがせた。ProofOfYouは、イーサリアムベースの契約や、異なる国の間や個人間での法的文書の作成、署名、履行、及び管理を行うプラットフォームだ。First Walletは、どのスマートフォンユーザーでも取引所や、高いセキュリティ環境での送金などを利用せずに、即座にビットコインでの支払いを行うことが出来るユニークなサービスだ。
Zeptagramはスウェーデンのスタートアップで、音楽の著作権をオルタナティブ投資として世界中のトレーダーや投資家の間で取引できるようなプラットフォームを立ち上げる予定だ。
予想では、透明性の高いリアルタイムでのインターネット取引所のようなもの、またはブロックチェーン技術に基づいた透明性の高いオーダーブックのようなものになるのではないかと言われている。
最後に、フィンランドのWoneだが、こちらはヨーロッパにおける相互運用可能な個人対個人でのモバイル決済ソリューションを通して、異なるモバイルウェレットでの決済を可能にするサービスを提供しているスタートアップだ。彼らのアプリを利用すればモバイル端末を持っている友達など、誰にでもお金が送金出来、お互いが同じモバイルウォレットアプリを利用している必要がない。
Nexussquaredの事業開発アプローチ
Nexussquaredは、多様で、幅広いイノベーションをサポートするビジネスプラットフォームであり、金融サービス業界の垣根を超えて、様々な企業とパートナーシップを結んでいる。彼らは分散型で、信頼性の高く効率の良いブロックチェーンのパラダイムにインスパイアを受けて今回のプログラムを立ち上げている。
主な展望としては、新たなベンチャー企業や確立したプレーヤーたちがビジネスを促進し発展させることができるよう、ヨーロッパにおけるブロックチェーンエコシステムの総合的な発展に寄与することを目標としている。
では、一体どのようにしてそれを可能にしているのだろうか?コーチングやコンサルティングなど、積極的に公共機関と関わっていくことで、ステークホルダー間での意義ある会話を促進し、レギュレーションに関するガイダンスを提供することによって彼らは上記のような事業を実現させている。
熱心なブロックチェーンアクセラレーター
3ヵ月のプログラム期間中で、熟練したメンターや、金融サービスのプロなどから、レギュレーション、技術的な問題、商業ビジネスにおける物の考え方など、実践的なアドバイスを直々に受けるスタートアップなども出てくるだろう。
主に、セキュアコラボレーションプラットフォームプログラムに基づいた仮想設定の中で実行され、ヨーロッパの主要都市において、3回に渡るウィークエンドセッションも行われる。これにより参加するスタートアップの創設者たちには、成功しているフィンテック企業の人々と、対面で直接出会う機会が与えられる。
プログラムの最後の月には、チューリッヒにあるnexuslabのポップアップラボに全チームが集結し、追加の対面指導が行われ、ピッチ・デイに向けたアイディアの練り合わせと準備が行われる。
本プロジェクトによって、参加者には業界のプロたちと繋がりを持つことが出来る素晴らしい機会が与えられ、彼らのスタートアップをさらなる発展へと導く足掛かりとなっている。次回のブロックチェーンアクセラレーターは2016の後期に行われる予定だ。