テキサス州出身の男が、新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けた中小企業向けの融資プログラムである「給与保護プログラム(PPP)」を使って不正受給した資金を仮想通貨に投資した。7月14日に米国の司法省が発表した

男は、テキサス州ヒューストン出身のジョシュア・トーマス・アージレス29歳。不正受給した額は110万ドル(約1億2000万円)。「テキサスバーベキュー(Texas Barbecue )」と「ヒューストンランドスケーピング(Houston Landscaping)」という2社の代わりに申請書を出したという。申請書に書かれていた両社の従業員数や賃金は実態とは大きく乖離していた。

司法省の発表によると、テキサスバーベキューの代わりに受給した資金が仮想通貨に投資された。

「2社の支援金は送金されたが、PPPの条件となる賃金やその他経費の支払いには使われなかった。むしろテキサスバーベキューに支給された資金は仮想通貨の口座に入っていた。ヒューストンランドスケーピングへの支給は銀行口座に置かれていたが、ATMからの出金を通して徐々に減っていた」

仮想通貨投資への具体的な金額は明らかになっていない。

PPPは、一定の要件を満たせば、融資の全額または一部の返済が免除されることから、申し込みが殺到していた。

コロナ支援金と仮想通貨

今回は詐欺だったが、新型コロナウイルスに関連する支援金が仮想通貨投資に回るケースは増えているようだ。

4月に米国最大の仮想通貨取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、経済対策として米国で給付された1200ドルの現金給付と同時期に、同額の仮想通貨ビットコイン購入が4倍以上増加したことを明らかにした。

1200ドルの現金給付は、新型コロナウイルスの影響で失業したり、収入が大幅に減少したりするなどの経済的に困窮した人々を救うために実施された。

また仮想通貨プラットフォームのコインカーブ(Coincurve)の創業者であるウェイン・チェン氏は、コインテレグラフに対して、こういった経済刺激策がビットコイン市場に与える影響について語っている

チェン氏は、この影響については慎重な見方を示している。チェン氏は、この現金支給は「最悪の事態に備えるために」、収入源を失った人々を救済するのが目的だとし、ビットコインへの投資は後回しになるだろうとみている。

「刺激策後も一般の人々は依然として仮想通貨を保有し続けると思う。…銀行口座への余剰資金(1200ドル)が仮想通貨市場全体で巨大な購入を引き起こすとは思えない」

その上で、チェン氏はビットコインへの影響は「控えめなものになる」と指摘している。

「それは非常に控えめなものになるだろう。非常に緩やかなものになるだろう。人々が得るのは大金ではない。(給付された現金を)人々は貯蓄するつもりだろう。それはビットコインを史上最高値に押し上げるものにはならない」