米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日に発表した関税措置による世界的な貿易戦争の影響で、ゴールド連動型暗号資産の価値が急騰している。
コインマーケットキャップのデータによれば、テザーゴールド(XAUT)とパクソスゴールド(PAXG)は4月22日に過去最高値を更新し、テザーゴールドは3529ドル、パクソスゴールドは3520ドルに達した。さらに、他のゴールド連動型暗号資産であるクオリウム(QGOLD)とキネシスゴールド(KAU)も過去30日間でそれぞれ8.5%、7.6%上昇している。コインゲッコーのデータでは、これら4つすべてのトークンが過去12カ月で40%以上上昇している。
テザーによるレポートによれば、XAUTに対する需要の高まりは、世界経済の不確実性の高まり、地政学的な緊張、インフレ耐性資産への需要増加といったマクロ経済要因によるものだという。
トランプ大統領による貿易戦争再開以降、金価格も大きく上昇している。4月2日、関税発表のあった「解放の日」時点で金1オンスあたりの価格は3115ドルだったが、4月28日現在では3335ドルに達しており、30日足らずで7%上昇した。
インフレヘッジとして認識されることの多い金は、経済的不安定な時期に投資家を引きつけやすい。同様に、「デジタルゴールド」と呼ばれるビットコイン(BTC)も同期間に14%上昇している。
RWA市場の成長
現実正解資産(RWA)のトークン化――貴金属、債券、不動産など実物資産をブロックチェーン上に載せる取り組み――は拡大する市場となっている。RWA.xyzによれば、ステーブルコインを除くRWAトークン市場の時価総額は216億ドルに達し、過去30日間で8.6%増加している。
テザーゴールドとパクソスゴールドはRWAトークン化の例であり、それぞれ1トロイオンスの実物金によって裏付けられているとされる。テザーはスイスに、パクソスはロンドンに金準備を保管しているという。トークン化された金は2025年に強力な暗号資産ユースケースとなり、4月10日には取引量が過去2年で最高を記録した。
金をトークン化することには、一般的な金投資手段に比べていくつかの利点がある。たとえば、これらのファンドを通じた決済は即時であり、迅速な取引が可能だ。また、一部のトークン化ゴールドは商品やサービスの購入にも使用できるが、従来の金融商品は通常、法定通貨に換金するしかない。