テザー(USDT)は7月時点で1131億3000万ドルの流通供給量に達し、2023年3月のシリコンバレーバンク(SVB)の崩壊以来、重要なマイルストーンを迎えた。
IntoTheBlock(ITB)のデータによると、2023年のSVB崩壊は、伝統的な金融機関(TradFi)から安定を求めてUSDT(テザー)に逃げ込むことになり、ステーブルコイン市場にとって重要な転換点となった。
コインテレグラフとのインタビューで、ITBのマーケティングディレクターであるヴィンセント・マリエパード氏は、USDTのアクセスのしやすさが主要な優位性となっており、「主要取引所での基軸取引ペアとして存在しているため、価値の移転や市場のボラティリティに対するヘッジを容易にする」と説明した。
ステーブルコイン市場の時価総額はSVB崩壊後も成長を続け、2022年12月の1378億6000万ドルから2024年7月には約1500億ドルに増加した。ステーブルコイン市場は、スイス金融市場監督局(FINMA)の新しい発行者ガイドラインなどの規制イニシアチブにより、世界的な注目を集めている。
ITBのデータによると、この増加により、DAI、FDUSD、USDMなどのステーブルコインが10万ドルを超え、市場における信頼性と流動性が向上したという。
サークルUSD(USDC)は7月に規制面での対応が進み、新しい欧州連合(EU)の暗号資産市場(MiCA)規制枠組みに準拠する最初のグローバルなステーブルコイン発行者となった。しかし、この進展にもかかわらず、ステーブルコイン市場での337億1000万ドルの時価総額は、USDTの1131億3000万ドルとの間に大きな差がある。
USDTの成功の理由について、マリエパード氏は、USDTが分散型金融(DeFi)や取引を超えた役割を持っていると説明した。「USDTは、ハイパーインフレーションや経済不安に直面している地域の個人や企業にとって、信頼性と安定性を提供する安定した金融ツールとして魅力的な価値提案を提供する」。