ステーブルコイン発行企業テザーはデータ分析を活用し、ビットコインのマイニングと再生可能エネルギーの運用を最適化するための特化したソフトウェアを開発中だ。
テザーのパオロ・アルドイノCTOはコインテレグラフに対して、マイニングサイトの分析とパフォーマンスを向上させることを目的とした、開発中のマイニングソフトウェアの詳細について語った。
このソフトウェアは、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作に出てくるドワーフの鉱山王国にちなんで、「モリア」と名付けられている。テザーのCTOは、最近のソーシャルメディアの投稿でソフトウェアの詳細を共有している。
アルドイノ氏によれば、エコシステムには多くのクラウドベースのビットコインマイニングトラッカーが存在するが、これらは高度なカスタマイズと「深いレベルでのオーケストレーション能力」を欠いており、リアルタイムのデータを分析してマイニングとエネルギー出力を最適化するソリューションにギャップが存在しているという。
「これまでのところ、マイニング会社が使用しているソフトウェアのほとんどは、ビットコインマイニングサイトの現状を概観するシンプルなインターフェイスを提供する基本的なクラウドソリューションだ」とアルドイノ氏は語る。
エネルギー生産サイトやマイニングサイトの深いデータソースにアクセスするには、それらのサイトのパフォーマンスとその周辺環境を理解するために、複雑で効率的な分析ツールが必要だと彼は言う。
「マイニングサイトで使用されるエネルギーが風力や太陽光であれば、特定の日や特定の時間の風速の予測などの最適化パラメーターがあり、これを使用して一部のマイナーをオーバークロックし、生産を増やすことが可能だ」と彼は語る。
テザーは、USDTの余剰準備金の一部を使用して、エネルギー生産とビットコインマイニングに積極的に投資している。
アルドイノ氏によれば、マイナー、コンテナ、変圧器などのさまざまなデバイスが生成するデータをリアルタイムで記録、監視、分析することが、運用を効率化するために不可欠だという。彼の最近のX投稿では、数千の物理的なマイニングユニットが複数のコンテナに格納され、さらに数千のデバイスに接続されたビットコインマイニングサイトから得られる価値について詳しく説明している。テザーのCTOは、マイニングサイトを何百万ものデータポイントを生成するIoTプロジェクトに例えている。
アルドイノ氏は、モリアの開発の焦点は現在、ビットコイン分析ツールに置かれており、その後、ソフトウェアはエネルギー生産をカバーするように拡張されると付け加えた。「ここでも、太陽パネルや風力発電機などが信じられないほどの情報を提供しています」と彼は語る。
アルドイノ氏は、モリアのソフトウェアをHolepunchベースのスケーラブルでモジュラーなアーキテクチャとして説明し、それはビットコインマイニングを最適化するために、さまざまなデバイスからデータを収集、集約、分析する能力を持っていると述べる。
テザーは最近、エルサルバドルの地熱エネルギープロジェクトに10億ドルを投資すると発表している。アルドイノ氏は、別のコインテレグラフとのインタビューで、同社の利益をエネルギーインフラとビットコインマイニング運用に振り向ける方針を明らかにした
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン