6月12日、テザー社はイーサリアム・ブロックチェーン上で10億ドル相当のテザー(USDT)ステーブルコインを新たに発行した。この発行は、4月21日の前回の発行から2ヶ月以内に行われたものだ。
テザー社の最高技術責任者パオロ・アルドイノ氏はツイッターで、今回のUSDT発行はイーサリアム・ネットワーク上での「在庫補充」として行われたものであると説明した。「今回の発行は、承認されているが発行されていない取引であり、全体のUSDTの時価総額には影響を与えない」とアルドイノ氏は述べている。また、新たに発行された額は、次の発行要求やチェーン・スワップの在庫として使用されるとしている。
チェーン・スワップは、トレーダーがデジタル資産をあるブロックチェーンから別のブロックチェーンに移すために使用するプロセスである。この手続きにより、トレーダーは保有する仮想通貨をサポートする他のブロックチェーンにアクセスできるようになり、複数のブロックチェーンでデジタル資産を活用できるようになる。
アルドイノ氏は、テザーは定期的にさまざまな仮想通貨プラットフォームと連携して、USDTの流動性を複数のブロックチェーン間で再調整する手助けをしていると説明した。例えば、仮想通貨取引所がイーサリアム・ブロックチェーン上でUSDTの流動性が過剰であり、トロン・ブロックチェーン上で出金処理が必要な場合、取引所はイーサリアムベースのUSDTをトロン・ブロックチェーンにチェーン・スワップする。
2023年に入ってから、テザー社は新たに160億ドル以上のUSDTを発行し、現在の時価総額は830億ドルを超えている。USDTのシェアは2023年に最高値を更新している一方、他のステーブルコイン発行者は米国の規制や銀行危機により苦戦している。

サークル社が発行するUSDコイン(USDC)は、時価総額で2番目に大きなステーブルコインであり、2022年には最大のステーブルコインであるUSDTを追い抜く寸前だった。しかし、長期化する仮想通貨の弱気相場や米国の銀行危機が、2023年のUSDCの市場シェアに大きな影響を与えた。サークルのジェレミー・アレールCEOは、米国規制当局による仮想通貨の取り締まりがステーブルコインの時価総額の減少の原因であると指摘している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン