ロイター通信の27日の報道によると、スイス国立銀行(SNB)のトーマス・ヨルダン会長が、ホールセール型中央銀行デジタル通貨(wCBDC)のパイロットプロジェクトを近く開始すると発表した。
wCBDCはスイスSIXデジタル取引所に発行され、期間限定で実施される。6月26日にチューリッヒで開催されたPoint Zero Forumで計画が発表された。SIXグループは、スイス最大の証券取引所も運営している。ヨルダン氏は次のように述べている。
「これは単なる実験ではなく、銀行準備金と等価のリアルマネーで、市場参加者との実際の取引をテストすることが目的だ。」
昨年、SNB理事会のトーマス・モーザー氏は、CBDCは分散型金融と良好に機能する可能性があるとコインテレグラフに語っていた。SNBは昨年初め、Project Helvetiaの一環として、wCBDCを5つの銀行のバックオフィスシステムに統合した。これは以前、wCBDCの概念実証を完成させていた。
今回の発表は1年前にSNBの主任エコノミストであったカルロス・レンツ氏が表明した立場が転換したものと考えられる。彼は、ブロックチェーンはCBDCに適したプラットフォームではなく、国は発行を意図していないと述べていた。
ヨルダン氏はリテールCBDCについて、「現時点では少し慎重だ」と述べつつ、その導入を否定しなかった。
Swiss National Bank (SNB) to launch digital currency (CBDC) pilot - SNB's chairman https://t.co/Kc7DKIYuSA via @Reuters pic.twitter.com/HG4ZSFGkW9
— Dan Popescu (@PopescuCo) June 26, 2023
SNB理事会のアンドレア・メクラー氏は、今年のPoint Zero Forumでスイス中央銀行が国内で現金の代替物を想定していないと発表した。メクラー氏は昨年、SNBの役員らが「リテールCBDCに関してはリスクが利益を上回ると考えている」と述べていたと明らかにしている。