ハードフォークと呼ばれるソフトウェアアップデートによって、デジタル通貨の安定性が脅かされているという研究結果が12日に明らかになった。ソフトウェア更新に関する明確なガイドラインの策定が、仮想通貨の安定化に役立つと言う。

 この論文はオークリッジ科学教育研究所のベンジャミン・トランプ博士が率いるグループの研究者によって作成された。800本以上のソフトフォークとビットコイン(BTC)からのハードフォークを調べることで、仮想通貨の「フォーク」の状態を見直した。

 トランプ氏は、デジタル通貨は、ブロックチェーン技術のおかげで、グローバル規模での商取引や情報交換を大きく変える可能性があると述べているが、ガバナンスの課題は仮想通貨の安定性を脅かすと主張している。「このように仮想通貨のブロックチェーンを中断すると、人々は信用しなくなり、信頼できる交換手段として生き残る能力を失う可能性がある」と述べた。

 この分析では、かなりの量のBTCフォークとアルトコインが、数ヶ月以上存続しないことが判明している。そのうちのいくつかは定着し、何年も続いている。研究者によっては、ハードフォークはよりありふれたものになり、今年だけで50個のハードフォークの可能性があると述べている。トランプ氏は以下のように説明した。

「ハードフォークは、日々の金融取引に仮想通貨を採用するために不可欠な、安定した予測可能な運用プラットフォームを維持するのに脅威を与える」

 トランプ氏は、国際レベルでの交換媒体としてのBTCの可能性について、BTCネットワーク内の仮想通貨マイナー、ウォレット開発者、取引所などの事業者は安定性を高めるためにガバナンスを強化する必要があると主張した。

 イニシャル・コイン・オファリング(ICO)諮問会社Satis Groupが8月下旬に実施した別の調査は、BTC価格が、今後5年間で9万8000ドルに達する可能性があることを示唆した。報告書によれば、経済を支えるために必要な仮想通貨アセットの価値は、来年の約5000億ドルから2028年には3.6兆ドルに増加する。

 最近では、ビットコインキャッシュがハードフォークして、ビットメインのジーハン氏がサポートするもの、かつてサトシ・ナカモトを自称したクレイグ・ライト氏がサポートするものなど、2つ以上のネットワークに分かれるのではという見方も出ている