PR企業大手エデルマンが5月12日、信頼度調査「2020 エデルマン・トラストバロメーター・スペシャルレポート:仮想通貨(暗号資産)」を公開した。調査対象国における仮想通貨・ブロックチェーンへの信頼度はいまだ48%に留まっているものの、2019年比で11ポイント上昇したという。また知識がある者ほど、より深く知ることで可能性を把握できるとしたそうだ。

同レポートは、エデルマンが2020年1月に公開した第20回信頼度調査「2020 エデルマン・トラストバロメーター」(日本版)の特別版にあたる。調査期間は2019年10月19日から11月18日。調査対象は、日本を含む28ヵ国・地域の約3万4000人で、25歳から64歳・大卒以上の学歴・世帯収入が各国の同世代と比較して上位25%以内となっている。

レポートによると、調査対象国28ヵ国・地域のうち、より規制すべき(15ヵ国)・信頼度が低い(16ヵ国)といった状況にあるものの、改善の傾向は見られるようだ。調査対象者の35%は、ブロックチェーンおよび仮想通貨が、新興技術としてプラスの効果をもたらすと考えているという。国別で見た場合には、中国、インド、タイ、サウジアラビア、インドネシア、中東UAEの6ヵ国ではプラスの効果をもたらすとしている一方、18ヵ国ではそのような見方は低い割合となっている。

また仮想通貨・ブロックチェーンについて、ある程度(moderato)、十分な知識がある(A lot)と応えた者ほど、より深く知ることで可能性を把握できると回答した。

教育・学習機会の増加に対する、仮想通貨関連企業のスタンス

コインテレグラフに対し、スペイン拠点の取引所Bit2meの最高販売責任者のハビエル・パストール(Javier Pastor)氏は、エデルマンのレポート内容に同意したと語った。

パストール氏は、仮想通貨コミュニティのニーズについて実施した内部調査を引用。回答者の51.1%が、教育・学習機会を仮想通貨普及における重要な要素としてとらえていると答えたそうだ。

パストール氏は、次のように続けた。

「我々が仮想通貨について話す際、広範な知識の格差が根強く存在する。コミュニケーション不足が原因で、仮想通貨の目的がコミュニティに明確に伝わっていない。

仮想通貨の普及の秘訣や柱のひとつは、学校などの教育機関で教育することだ」

一方、マイニングプール「ルクソール・マイニング」共同設立者グズマン・ピントス(Guzman Pintos)氏は、この問題に取り組む際には、考慮すべき重要な要素が複数あると考えているそうだ。

「私は、今後数年間にわたり仮想通貨の普及面で主要な推進力となるのは、世界中のインターネットユーザーの増加と、規制による透明性向上の2点だと考えている」

またピントス氏は、仮想通貨企業として、認知度向上、オープンソースソフトウェアの推進、監査の促進、そして「最も重要な、教育・学習機会への倍賭け(ダブルダウン)」によって、堅牢なエコシステムを構築する必要があると述べた。

エデルマンが指摘する、仮想通貨・ブロックチェーン関連企業の新たな課題

コインテレグラフに対して、エデルマン・コロンビアの広報担当副社長ダニエル・キロガ(Daniel Quiroga)氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて、仮想通貨・ブロックチェーンを含め、フィンテック企業が直面している新たな課題を指摘した。

「世界最大規模の信頼度調査『エデルマン・トラストバロメーター』では、パンデミック危機以前は、企業やCEOに対する信頼度はこれまでにないレベルに達していたことを明らかにした。

しかし、新型コロナウイルスによる危機により、消費者が(企業・CEOに対し)現在の状況に適応することを期待しており、この危機に無関心、また関係なく行動するブランドを罰する。これは、企業にとって新たな課題を意味している」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン