スマートコントラクトプラットフォーム「ファントム」上で構築された分散型取引所(DEX)のスピリットスワップは、トラブルを抱えるクロスチェーンプロトコル「マルチチェーン」へのエクスポージャーを理由に、9月1日から運営を縮小すると発表した。

開発者たちは8月9日のDiscordを通じた発表で、マルチチェーンのハッキングによりスピリットスワップの財務が大きく毀損し、運営費、給与、マーケティングなどの基本的な運営資金を調達する手段がなくなったと明らかにした。チームは9月1日までにDEXを引き継ぐチームを探していると述べている。もし所有権の移転がなされなければ、DEXは完全に運営を停止するとしている。

2021年に設立されたスピリットスワップは、仮想通貨の弱気相場が始まる前に、ファントム上で人気のあるDEXの1つだった。そのロックされた総価値(TVL)は2022年1月に過去最高の3億7400万ドル達したが、現在はマルチチェーン事件の影響で下落し、公表時点で約292万ドルとなっている。

数ヶ月にわたって憶測や噂が流れていたが、マルチチェーンの開発者たちは今年7月、共同創設者兼CEOのヘ・ジャノジュン氏が5月に中国警察に逮捕されたことを明らかにした。彼は逮捕された時点でマルチチェーンの秘密鍵とサーバーへの全アクセスを保持していたとされる。その後、何者かによって、マルチチェーンとそのユーザーの資金はステーブルコインやプライベートコインに交換され、プロトコルから移された。

事件発生前、マルチチェーンはファントムのクロスチェーンプロトコルの選択肢であった。資金流出などの影響を受け、ファントムのTVLは5月初めの3億6400万ドルから公表時点で7200万ドルへと減少した。先に、ファントムの貸付プロトコルであるガイスト・ファイナンスは、マルチチェーンへのエクスポージャーにより運営を停止すると発表していた

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン