スペイン銀行(中央銀行)の総裁は、ブロックチェーンの可能性については支持しているが、仮想通貨は現時点で利点よりリスクが多いと懸念している。地元ニュースメディアのヨーロッパ・プレス・ファイナンシャルが23日に伝えた

 デロイト社などが運営する金融セクターのリーダー会議で、中銀総裁のルイス・マリーア・リンデ氏は、ブロックチェーンについて「興味深い可能性がある技術」と言及しつつ、まだ十分に成熟していないとの見方を示した。リンデ氏は、現在のデジタル経済への世界的な移行には、合理的限界を超えない範囲のリスクで、イノベーションを促進する規制が必要と述べた。

「デジタル経済へのさらなる移行には、より大きなサイバー攻撃の脅威が伴う。プロセス、アセット、顧客のデータを保護するための新しい手段が開発されることが必要不可欠だ」

 仮想通貨については、現時点では利点よりも多くのリスクが存在していると確信しており、それらを「重要な改善が提供されていない、できるかぎり早く対処されるべき偽の新商品」と呼んだ。

「仮想通貨は支払いの手段としての受容性が低く、極端なボラティリティに苦しんでおり、多くの場合、複数の運用上の脆弱性が存在し、詐欺や違法な行為に関連がある」

 米国議会図書館によれば、ビットコイン(BTC)はスペインでは合法の通貨としてみなされていないが、デジタル商品だとみなすことは可能で、そのトランザクションは、スペインの民法における物々交換のルールで管理できる可能性がある。

 4月の終わりに、スペインの多国籍銀行BBVAは、商談から署名に至るまでのローンの手続き全体をブロックチェーン技術を使って進める初の銀行となった。2月の中旬には、スペインの国民党のある議員が、国内のイノベーションを促進する方法として、ブロックチェーンを使用する企業に対し、税制優遇措置を与える法律を準備していると報じられた。