韓国の金融当局は25日、仮想通貨取引所を監督し、現行の規制が順守されているかどうかをチェックするタスクフォースを金融情報分析院(KFIU)と共同で設立したと発表した。KFIUによれば、国内の取引所と協力し、仮想通貨によるマネーロンダリングや不正行為が起きないようにするという。

 また、取引所の支援を決定した韓国の銀行6行に対し、不審な動きがあった際にKFIUに報告するよう要請する。新韓銀行や農協銀行、IKB、ウリィ銀行などは、不審な取引についてKFIUに定期的に報告し、金融犯罪の防止に努めていく。

規制強化に楽観的な見方

 韓国政府は、仮想通貨取引を禁止するという法務部の計画を公式に否定した後、多くの予算や人員を割いて、国内の仮想通貨市場の規制強化や安定した強固なインフラの提供に乗り出した。

 韓国金融委員会(FSC)の職員によるインサイダー取引事件に対し、ここ何週間もの間、従来の金融分野や仮想通貨市場の大部分の投資家から怒りの声が上がっている。

 朴相基(パク・サンギ)法務部長官が仮想通貨の取引禁止を発表する直前にFSCの職員がビットコインを売り、その後再度購入していたことを、FSCの崔鍾球(チェ・ジョング)委員長が先週認めた。

 当時、政策調整室の洪南基(ホン・ナムギ)長官は「政府はインサイダー取引を始めたとされる何人かの政府職員の調査を行っている。政府職員が仮想通貨の取引を行うことは適切ではないため、FSCは当面の間、取引をしないように求めていく」と述べた。

 仮想通貨取引禁止を巡る対応のまずさにより、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は60%を下回る最低レベルにまで落ち込み、政府の怠慢についても厳しい批判が寄せられた。

 法務部による取引禁止という誤った対応のバランスをとるため、韓国政府と金融当局は今週から、仮想通貨の市場や業者の規制強化に乗り出した。政府が規制を課すことで市場にお墨付きを与えたと国民から受け止められるのを恐れ、これまでは仮想通貨の規制に消極的だった。

規制は投資家に有益

 先週までは、各銀行が口座を停止し、仮想市場への資金流入を断ち切るのではないかという懸念が韓国の投資家の間にあった。これも法務部長官が仮想通貨市場について時期尚早の発表を行い、物議を醸したためだ。

 国民銀行が、仮想通貨取引に使用されていたバーチャル口座の閉鎖を発表すると、その懸念はさらに高まった。

 しかしそれ以降、6つの大手銀行が国内の取引所に支援を提供し、KFIUが市場の規制に乗り出した。そして政府は、仮想通貨業者を正当な金融サービス提供者として認めつつある。