韓国銀行(中央銀行)の総裁が、ウォン建てステーブルコインの発行に反対する立場ではないと述べつつも、同通貨の外為管理に対して懸念を示した。

ロイターの19日の報道によれば、韓国銀行のイ・チャンヨン(李昌鏞)総裁は記者会見において、「ウォン建てステーブルコインを発行することで、ドル建てステーブルコインの使用を抑制するのではなく、むしろそれらとの交換を容易にしてしまう可能性がある」と発言した。

さらに同氏は「それによってドル建てステーブルコインの需要が高まり、我々にとって外為管理が難しくなる可能性がある」と述べ、慎重な姿勢をにじませた。

この発言は、韓国の新大統領であるイ・ジェミョン(李在明)氏が、選挙公約に掲げた仮想通貨政策の実行を進める中でなされたものだ。韓国の外貨準備高が減少傾向にあることも背景にある。

韓国銀行のデータによれば、2024年12月末時点での外貨準備高は4156億ドルだったが、2025年5月末には4046億ドルに減少しており、半年で110億ドル減少したことになる。

仮想通貨に前向きな規制環境となるか

6月10日には、イ氏率いる与党「共に民主党」が「デジタル資産基本法」を国会に提出。この法案が可決されれば、最低資本金が36万8000ドルの企業はステーブルコインの発行が可能となる。

発行企業は、利用者への払い戻しに対応できる十分な準備資産を保有する必要があり、さらに韓国の金融当局である金融委員会(FSC)の承認も求められる。

なお、FSCは現在、国内の仮想通貨取引所に対して手数料の実態調査を行っており、これはイ大統領が掲げる「若年層の取引コスト軽減」の公約の一環でもある。

ドル以外のステーブルコインに注目集まる

ステーブルコイン市場では、依然として米ドル連動型のトークンが支配的な地位を占めている。最大手はテザー(USDT)で時価総額は1560億ドルにのぼり、次いでサークル社が発行するUSDCで時価総額は610億ドルに達している

しかし、最近ではユーロ連動型のステーブルコインにも注目が集まっている。サークル社が発行するEURCは、2025年年初からの成長率が156%を記録し、時価総額は2億300万ドルにまで拡大している

また、米議会でステーブルコイン規制法案「GENIUS法」の審議が進展したことを受け、サークル社の株価は19日の取引で大幅に上昇した

bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】