第4次産業革命に関する南アフリカ大統領委員会は、ブロックチェーンとAIが同国内の失業率の低減に役立つと考えているという。同委員会のムフォ・ダガダ氏は今週、ブロックチェーン・アフリカ・カンファレンスにおいて、ブロックチェーンが経済的利益をもたらす可能性があると語った。
同氏によると「この国は、失業率の低減とGDP(国内総生産)の増加というふたつの重要課題に直面している」という。「(第4次)産業革命政策は、この国の経済成長を生み出せる」と追加した。
ダガダ氏は、特に南アフリカの鉱業セクターは、AIと連携することで、ブロックチェーン技術を活用した先進的ソリューションの恩恵を受けられると述べた。
「南アフリカは、天然資源、成熟した金融サービスを擁しており、経済的および政治的な大国といえる。アフリカの強さは鉱物にあり、世界はその分野のデータを追跡できる良い方法を探している」
ブロックチェーンは、透明性を高め見識をもたらす
コインテレグラフに対してダガダ氏は、ブロックチェーンが鉱業分野の透明性を確保し、データに焦点をあてた見識をもたらすことに役立つと述べた。
また同氏によると、法規制を遵守している限り、南アフリカ政府は、国民による仮想通貨の利用に関して前向きだという。
「政府としては、仮想通貨とブロックチェーンは良いものであり、大歓迎している。嫌っているのは、例えば、脱税のため、出国して資金を仮想通貨ビットコイン(BTC)に替えて持ち帰るなど、人々がそれを悪用しているという点だ。政府は、法規制の範囲内での作成・使用・交換を歓迎している」
ブロックチェーンでICT開発促進
また、南アフリカ国内の情報通信技術(ICT)分野を推進する科学産業研究評議会(CSIR)下部組織デジタル・アドバンテージ・オフィス(DAO)は、同国内のブロックチェーン・プロジェクトを積極的に支援しているという。
ブロックチェーンについてCSIRは、新分野の調査を行い、民間部門と政府からの投資を誘致するプログラムを導入した。DAO責任者のアホナ・ダマネ氏は、同国内のブロックチェーン分野の企業は、投資家と政策立案者の助けが必要だと述べた。
「我々は、ブロックチェーン分野への参入により、仮想通貨よりも進んだ開発を推進できることに気づいた。この国には限られた技術スキルしかないものの、国内のブロックチェーン・エコシステムは、スタートアップ企業が牽引し成長している。現在この分野は、政府の関与を望んでいる」
ダマネ氏は、ブロックチェーン業界を支援し他分野とのコラボレーションを可能にするため、南アフリカ・ブロックチェーン・アライアンスを2020年4月に立ち上げると明らかにした。
ブロックチェーンを使用したプロジェクトには、デジタルID、電子投票、食品サプライチェーンと安全性検証、ヘルスケア、電子入札システムが含まれるという。ダマネ氏は、これら研究開発に投資する企業に対し、政府は税制優遇措置を用いる予定だと付け加えた。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン