イーサリアムの取引処理性能が間もなく100倍に増えるー。イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏がそんな見方を示している。

米著名ポッドキャストの主催者ティム・フェリスに対してのべた

分散型アプリやDeFi(分散型金融)を動作させるために必要なガス代(手数料)が高騰する中、イーサリアムはシャーディング技術等を活用するETH2(イース2)の開発に取り組む。ただ完成までには時間がかかり、競合のプライベートチェーンも勃興している。それまでの中期的な解決策として注目されるのがスタートアップのオプティミズムが取り組んできた「Optimistic Rollup(オプティミスティック・ロールアップ)」だ。ブロックチェーンの外にもう一層のレイヤーを敷いて取引処理を効率化するいわゆるレイヤー2技術だ。

ヴィタリックはオプティミズムがEthereum Virtual Machine(EVM)に完全対応したロールアップを「1カ月ほどで立ち上げる」と予測し「ロールアップが実装されるのはもうすぐだ。ロールアップ以上のスケーリング(性能拡張)が必要になる頃には、シャーディング技術の準備はもうとっくにできているはず」とコメントしている。

「シャーディングの実装がなくてもロールアップがあれば100倍のスケーリングが可能だ。取引の複雑さにもよるが、1秒間に1000~4000件のトランザクションを処理できるようになるだろう」。(同氏)

ヴィタリックはまた、オプティミズムによるロールアップに加え、Arbitrumが開発するEVM対応のロールアップも大きく前進したことも強調している。

オプティミズムのロールアップにはガス代高騰問題に悩むDeFiの業界リーダーたちが熱い眼差しを向ける。有名な分散型金融プロジェクトであるAave(アーヴェ)とSynthetix(シンセティックス)が同ロールアップを取り入れるほか、分散型取引所Uniswapも次のv3アップデートで採用するのではと予想されている

ロールアップ自体はオプティミズムが開発する以前から存在している。ヴィタリックによると「LoopringやzkSyncのようなアセット間の単純なトランザクションを処理するだけのよりシンプルなロールアップも実際にあった。<中略>これらのロールアップはすでに1年ほど前から安定して稼働しており、ロールアップは理論ではなくイーサリアムのスケーラビリティの一部として実用化されている」と指摘している。